「The power and the glory」は新潮文庫とハヤカワの2冊が出ているが、どちらも訳がダメ。特に新潮はひどい訳だ。ハヤカワは筋をたどるためだけ。 こういう訳者たちは日本語をどう思っているのだろう。翻訳をしているということは文筆でお金をもらっているのだろうが、恥ずかしさを感じないのだろうか。もっと日本文学を読みこなして日本語著作としての表現方法や日本語感性を身につけてから仕事をうけるべきと思うが。それができないのなら能力がないのだから、任に堪えないとこの仕事を断るべきだ。編集者も悪い。 冒頭の「ハゲワシが空をうろつく」という表現。「うろつく」が足で地面を歩く事を想起させるものなのに、空をとぶ翼に対してあてることがおかしいという感覚がないのだろうか。他にもへんなとこばかり。 本の内容はグリーン著作の中でも傑作で代表作の「The end of the affair」よりずっとおもしろい。グリーンだけにテーマとしてカソリック信仰が作品に流れている。丸谷才一さんに訳してもらいたかった。 Tomokazu HanafusaさんのWebサイトにある「『権力と栄光』単語集」を参考にして原書を読むことをすすめる。