出版社内容情報
本人の目前に現れたウィリング博士を名乗る男は誰か。「啼く鳥は絶えてなし」というダイイングメッセージの謎をめぐる冒険が始まる。解説 深緑野分
内容説明
ある夜、自宅近くのたばこ屋でウィリングが見かけた男は、「私はベイジル・ウィリング博士だ」と名乗ると、タクシーで走り去った。驚いたウィリングは男の後を追ってパーティー開催中の家に乗り込むが、その目の前で殺人事件が…。被害者は死に際に「鳴く鳥がいなかった」という謎の言葉を残していた。発端の意外性と謎解きの興味、サスペンス横溢の本格ミステリ。
著者等紹介
マクロイ,ヘレン[マクロイ,ヘレン] [McCloy,Helen]
アメリカのミステリ作家。1904年ニューヨーク生まれ。ソルボンヌ大学に留学、パリとロンドンで美術批評家、新聞記者として活動し、1932年に帰国。精神科医ウィリング博士を探偵役とした『死の舞踏』(1938)でデビュー。本格推理からサスペンスまで多彩な作風で人気を博した。1994年没
渕上痩平[フチガミソウヘイ]
元・外務省職員。海外ミステリ研究家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スパシーバ@日日是決戦
96
C (2016年)<1951年> 精神医学を用いて犯罪者の心理を分析し、「犯罪者はだれでも心理的な指紋を残している」が信条。自分の名を騙る者を追跡し向かった先の家を訪問すると、そこには知り合いの女性一人を含むパーティーが催されていた。真意を糺そうと男を問い詰めるもかわされるが、まもなく謎のメッセージ「鳴く鳥がいなかった」を残して死に絶える。本人の意思を無視し気に入らない者は排除する(逆の立場になって考えてみろ!)、アンタ何様のつもり?的な身勝手な動機に気分は最悪(深緑野分さんの解説はグッドでした)。2016/11/06
セウテス
76
【ウィリング博士】シリーズ第9弾。ウィリングは、街中でベイジル・ウィリング博士と名乗る男に遭遇する。思わず後を追った先のパーティー会場で、男は毒殺されてしまう。マクロイ氏は本当に魅力的な謎で惹き付けるのが巧く、読み始めてアッという間に早く先を知りたくて仕方がなくなる。謎の男の正体は直ぐに判明するが、集団観衆の中どの様に毒をもったのかが疑問となる。謎解きのさらりとした文学的表現と時代背景などが、当時としては先見性ある動機を正に浮き彫りにする。現代社会においても通じるこの様な思考は、人間の根本的怖さを感じる。2022/04/21
HANA
66
精神科医が道端で耳にした自分と同じ名前を名乗る男、さらにはその男は殺され、残したのは謎めいた言葉。導入部分はセンセーショナルなものの、事件の推移自体は落ち着いた筆調で語られる。同著者で先に読んだ『あなたは誰?』はちょっと口に合わなかったけど、本書は登場人物の隠された部分が徐々に露わになる部分や探偵の私生活等が面白く、引き込まれて読んでしまった。トリックも面白く……乱歩が使ったトリックを連想させるようなものがあったなあ。それにしても被害者が口にした最後の言葉、あれって本当にあり得る事なのかちょっと疑問。2017/05/29
星落秋風五丈原
50
何と偶然出会った相手が自分の名前を名乗ったらそりゃあびっくりするよね!ギゼラとは無事結婚した模様。現代的なテーマが取り扱われている。2016/05/02
つねじろう
43
そう上質なミステリーです。丁寧に織り込まれたタペストリーみたいな感じです。一方で主人公の名前を騙る人物が目の前に現れ追跡する内に不可解な連続殺人に巻き込まれると云う掴みからもうオッケーみたいなフックも上手で気持ち良く作者の世界に入り込めます。伏線の張り方も謎から謎への展開も手抜きがなく続くので読み手を飽きさせません。大掛かりなドンデン返しも無い分なるほど感で繋いで得点を重ねる作品です。ウィリング博士も含め登場人物のキャラ立ても巧みで気も入れやすい。シリーズ化されてるようなので少し嬉しい気分になりました。2017/01/14
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