内容説明
茶の湯へのひたむきさから、天下人秀吉にへつらうことなく、ついには惨殺されるにいたった山上宗二(1544‐90)。二十年余、利休の茶にふれてきた一の弟子が、死を予感しつつ、みずから得たものをあますところなく書き記した茶の湯伝書『山上宗二記』に、後世、茶人たちの逸話を集めた『茶話指月集』を付した。
目次
山上宗二記
茶話指月集
翻刻 山上宗二記
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
5
解説によると、千利休の茶の湯大成への史的瞬間を弟子が記録したもの(327頁)。陶磁器の知識も得られる脚注が充実。にじり口は、くぐりきど とか くぐり といったようだ(108頁脚注)。にじり上りは利休が考案したたてよこ二尺の狭い入口(141頁)。口切り は茶事の一番大切な茶で、冬に茶壺の口を切る。初物といった感じなのだろうか(149頁)。翻刻が後半にある。評者は前半の脚注と解説ぐらいしか読んでも理解できない。2013/04/18
imamura888
4
茶道の歴史と精神を通観するにとどまらず、人の生きざまや生死を考えさせらる書。それはおそらく、山上宗二が迫りくる何ものかを感じていながらこの伝を仕上げたからであろう。茶道の世界においては政治も俗界のことも無駄口も無用。ただひたすらに侘数寄の世界で精神を高めていく…。その迫力に圧倒されるが、師利休を「宗易」と記したり「坊主」と記すその語り口に惹かれるとともに、利休が、茶道には白い花がよい、としたのをさりげなく記しているのにも惹かれる。まさにこの書は口伝であり、密伝だったのかもしれない。2014/08/25
sigismund
3
茶道文化を研究するうえでの基礎資料。道具のいわれや茶人の心構えを説いた『山上宗二記』、千利休や古織公などのエピソードを蒐集した『茶話指月集』いずれも、鎌倉・室町以降の豪華な婆沙羅茶から、透徹とした精神性を重んじる茶道への変革を読み解くうえで重要になる。資料としてでなくともお茶をやっている人が「どういう心構えでお茶をやるか」とか、「どういう創意工夫が必要なのか」といったときの勉強にも使える。2014/06/06
知降 星人
1
上をそそうに、下を律義に、物のはずのちがわぬ様にすべし。2018/09/17
Leona Ashigaki
0
職業上の専門書として読みました。山上宗二の書いた図は勉強になります。