岩波文庫
中国近世史

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  • サイズ 文庫判/ページ数 337,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003811719
  • NDC分類 222.05
  • Cコード C0122

出版社内容情報

東洋学の祖・内藤湖南。本書は唐と宋の間に中世と近世の別を見る湖南の学問の根幹をなす著作。史実に即して近世の意義が力説される。

内容説明

日本の東洋学の祖・内藤湖南(1866‐1934)。彼の時代区分論は日本のみならず世界的な評価を受けている。本書は唐末五代を中世から近世への過渡期とみなすだけでなく、明清時代へと続く近世中国の特質が宋代から元代にかけて形成されたと論じる。具体的な史実に即した平明な叙述のなかに独創的で鋭い洞察が光る内藤史学の代表作。

目次

近世史の意義
貴族政治の崩壊
五代の奇局
契丹族の興起
統一の気運
北宋の承平時代
文化の変遷
神宗朝の改革政治
党争の過激と新法の弊害
金の興起と宋の南渡
宋金の小康時代
モンゴル族の興起と金の滅亡
南宋とモンゴル
世祖時代のモンゴルの内訌と外征
大元国の制度
モンゴル人の統治とシナ社会

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

33
1969年初出。唐代→宋初期までの科挙は、帖括(じょうかつ)と詩賦を主にした。前者は経書を暗誦する力を試験。後者は文学上の創作力を試みた(28頁)。五代→宋:壁画が屛障画と返事、金碧の山水〔群青、金泥を用いた山水画〕は衰え、墨絵が発達した。新しき水墨画は自己の意志を表現する自由法(34頁)。あらゆることが唐→宋の間に変化。中古と近世の差別(35頁)。閩の王審知は民政に意を用いた。福建に建国。人物は良く、領内に読書人たる士人を集め、少年の教育に注力(52頁)。読書人の禍と無節操者の顕達(64頁~)。2016/01/27

シンドバッド

9
内藤湖南を読んでみたいとは思いつつ、中々読むチャンスがなかった。文庫になったことで、読めた。内藤湖南の一端を示す著作に過ぎないが、宋から元という私には馴染みがない時代を、わかりやすく考察している。現代の東洋学の観点からの評価はわからないものの、日本の東洋学の礎となったことは理解できる。 2015/10/23

isao_key

8
本書は1920年(大正9)と25年(大正14)京都大学で行った「支那近世史」講義録を整理・校訂して著者没後の1947年(昭和22)に出版された本に表記を改め再出版した。先生は中国近世の始まりを、政治・経済・文化のすべてが大きく変化した宋代と定め、終わりを近世的様相の形成が終わる元代までとしている。解説で、近世史の講義の最終的なかたちを伝える本書は近世中国に関する内藤史学の到達点を示すものとして最初に読むべき概説書と賛する。人物に関してあたかも見知っているかのごとく記していて面白い。フビライを高く評価する。2016/06/21

さとうしん

7
唐末五代から元代までの通史。講義録という性質上からか、「シナの官吏は傭人根性で、人民の利益を考えないものが多いためであって、いかなる良法も役に立たない」とか、「シナの文化の中心になる読書人の階級からは、元の政治は不便であったが、程度の低い一般人民には手ごろであったかもしれない」といったシニカルなコメントが目立つ。宋元の頃であれば日本人の「民度」も大差なかったと思うが。2015/07/25

軍縮地球市民shinshin

5
内藤湖南の本は、『日本文化史研究』しか読んだことはなかったが、本書は彼の専門である中国史の通史。唐・五代十国・宋・遼・金・元にいたる時代を外観している。湖南は、中国の近世は宋末期から始まり、元で完成し、明・清の時代は停滞期であるとしている。唐までは貴族政治であり、皇帝といえども専制はできなかったが、宋から元にかけて貴族が衰退し、科挙による官僚登用によって、皇帝専制政治が確立したと主張している。湖南の書は本書が岩波文庫に収められたのは初めてだという。少し意外。2015/11/02

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