著者は1938年生まれの米国の作家。本書は2018年刊行の作品。翻訳はない。Hazards of Time Travelの表題から分かるようにSFである。 しかしながら、主人公が自ら望んで、あるいは不可解な要因で、過去へ移動するという展開ではなく、刑罰として2039年のアメリカ合衆国から17歳の女子学生が、再教育のため1959年に移送されるという内容である。 舞台の未来の米国は、完全な管理社会。人々の言動が監視され、そして制御されている。すべては国家の安全のために。語られるのは、主人公の女子の意識をとおしての閉塞感、孤独、愛、そして人生へのほのかな希望。80歳を迎えた著者自身の回顧のようにも思える小説。 時の流れが引き起こす偶然の連続が、時として危険をもたらすこともある。この表題と同じ名前をつけられた彫刻が最後に登場する場面は、心象として永く残りそうだ。