出版社内容情報
ドミニク・チェン[ドミニクチェン]
著・文・その他
目次
寺田寅彦『どんぐり』―織り込まれる時間
夏目漱石『夢十夜』―無意識を滋養する術
柳田國男『遠野物語』―死者たちと共に生きる
石川啄木『一握の砂』―喜びの香り
南方熊楠『神社合祀に関する意見』―神々と生命のエコロジー
泉鏡花『海神別荘』―異界の論理
和辻哲郎『古寺巡礼』―結晶する風土
小川未明『赤い蝋燭と人魚』―死者と生きる童話
宮沢賢治『インドラの網』―縁起を生きるための文学
内藤湖南『大阪の町人学者富永仲基』―アップデートされる宗教〔ほか〕
著者等紹介
チェン,ドミニク[チェン,ドミニク] [Chen,Dominique]
1981年生まれ。博士(学際情報学)。特定非営利活動法人クリエイティブ・コモンズ・ジャパン理事。NTT InterCommunication Center(ICC)研究員、株式会社ディヴィデュアル共同創業者を経て、早稲田大学文化構想学部准教授。一貫してテクノロジーと人間の関係性を研究している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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読書という航海の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はっせー
59
日本文学について勉強したい人におすすめの本になっている!構成やコンセプトから面白い。ここで出てくる本はみな青空文庫で読めるものになっている。その本についてドミニク・チェンさんが解説をしてその後原本が載ってきて最後にドミニク・チェンが面白いと感じる部分の引用箇所が書かれている構成である。そしてQRコードがついていてそこを読み取ると青空文庫でその書籍が読めるようになっている。この本を一言でまとめると「温故知新」であろう。私自身も読みたい本がかなり増えた!2023/06/25
原玉幸子
22
岡本かの子の小説は心情の切り取り方が素晴らしいと初めて知り、『陰翳礼讃』の谷崎潤一郎は文章が上手かったのだなと改めて気付かされ、ガキの頃に読んだ梶井基次郎を懐かしいと思い出し、(時代小説では私が数少ない途中で読むのを止めた)山本周五郎の近代小説は瞠目モノだった等々、作品から膨らむイメージを大事にする著者の発信は秀逸だったのですが、本書の構成の肝でもある初版本を敢えて転載する必要はないかと思った次第です。現代のビジュアル言語の風潮に合わせた?(●2021年・冬)2021/12/26
halow
0
電子書籍で読んでいたら、あとがきで「紙の本で読むべし」とされていた。ご無体な。題の通り日本文学を共有知として捉え、その文章群に触発されて生まれた文章を並べるという形式。そういうコンセプトであるから、最近話題になっている生成系AIと著作権の問題についての考えを知りたくなったが、柳宗悦を扱った章でその一端を読むことができた。それは生成と受容の価値を根本から捉え直すものであり、先の問い自体を成り立たなくさせるものである。著作物が商品として存在する以上、完全に同意することはできないがなるほどと思うところはあった。2024/01/31