内容説明
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目次
■戦後80年特集「民主主義の興亡」
【第1部】遠い平和
戦争が戦争を呼ぶ。その状況すら次第に受けいれつつある自分がいる。
強国の横暴、それにより命が、日常が奪われ続ける状況をとめられない。公然と が言われ、事実が隠され、悪法が生まれる。叫び合う声のほかに、話しあい、歩み寄る土台をもてない。
私たちはこのまま民主主義を手放すのか。
【第2部】「戦後」の現在
歳月の経過のなか、戦争体験世代は減少。日本における平和意識は揺らぐかに見える。
だが、目をこらせば、「戦争」の継続があちこちに存在する。沖縄の日常に。朝鮮半島や台湾との関係に。空襲など民間人被害者への処遇のなかに。戸籍や家族のありかたの構造に……。
これは果たして「戦後」なのか。国際社会で武力・暴力による抑圧が一方的になされる現在、戦争のなかを生き、あるいは生きられなかった声から考える。
戦後80年特集 民主主義の興亡
第1部 遠い平和
〈対談〉「12日」の代償――米イラン攻撃は何をもたらすか 三牧聖子(同志社大学)×中西久枝(同志社大学)
〈連載特別編〉銃口を内側に向けた国の戦後──アジアとアメリカのあいだ 第8回 望月優大(ライター)
もはや時間はない――アウシュヴィッツ解放八〇周年に 最上敏樹(バーゼル大学客員教授)
原始化される社会――ロシア内政学者が解説する教育・徴兵・法制度の現在 奈倉有里(ロシア文学研究者)
〈対談〉メディアは公共性を取り戻せるか 宇野重規(東京大学)×国谷裕子(ジャーナリスト)
「失敗」という本質――民主主義は幻滅から立て直せる 山本昭宏(神戸市外国語大学)
〈対談〉日本滅亡を回避できるか 柳井 正(ファーストリテイリング)×寺島実郎(日本総合研究所)
日本学術会議 悪法の核心 加藤陽子(東京大学)
〈対談〉憲法は生きている――公共訴訟という可能性 江島晶子(明治大学)×谷口太規(弁護士)
民主主義を手放せるか 暉峻淑子(経済学者)
第2部 「戦後」の現在
「昭和一〇〇年」の政治的文脈 吉田 裕(一橋大学名誉教授)
閉じ込められた声を聴き続ける――沖縄と社会的記憶 謝花直美(琉球大学)
日本と台湾のあいだ――成熟する台湾の民主主義と日本の責任 家永真幸(東京女子大学)
〈インタビュー〉アジアにいちばん近い場所から――戦後80年、日韓基本条約60年に思う 姜尚中(東京大学名誉教授)、聞き手=前川仁之(ノンフィクションライター)
戦後80年 最初と最後の政治風景 大澤真幸(社会学者)
植民地化された他者の声――フェミニズムを/から問う 髙内悠貴(弘前大学)×趙慶喜(聖公会大学)×本山央子(フェミニズム運動・研究)、司会=福永玄弥(東京大学)
日々戦争を体験する私たち 玉城 愛(沖縄女性運動史研究)
吉原と日本人――性の尊厳にたどり着くまで 横山百合子(国立歴史民俗博物館名誉教授)
教科書のなかの太平洋戦争――戦争児童文学教材はいま 黒川麻実(愛知県立大学)
戦争被害 放置されてきた軍民・内外差別 有光 健(早稲田大学国際和解学研究所)
〈インタビュー〉空襲被害者は訴える――救済法の実現を、今年こそ 根本徳三(東京空襲犠牲者遺族会)
長崎から「地球市民」になる――被爆者から受け取ってきたもの 平林千奈満(小学校教諭)
世界の潮
韓国大統領選を読む――世代、ジェンダー、アスファルト右派 堀山明子(毎日新聞)
アベノマスク訴訟――安倍政権、隠蔽体質のその一端 大瀧哲彰(朝日新聞)
〈スケッチ〉 聞けるものなら 滝口悠生(小説家)
〈夜店〉 表現の自由のフロンティア――「思想の市場」とその外部 山羽祥貴(東京都立大学)
この社会の社会学 第7回 社会学的な死 石岡丈昇(日本大学)
〈対談〉ひとりで暮らすふたりの話 津村記久子(作家)×和田靜香(ライター)
言葉と言葉のかくれんぼ 第16回 戦争のあとがき 斎藤真理子(翻訳家)
〈SEKAI Review of Films〉私たちの新しい根拠――『黒川の女たち』 胡桃澤伸(劇作家、精神科医)
本との出会い
読書・観賞日記 読んで、観て、聴いて 酒井啓子(千葉大学)
本とチェック 第27回 詩の魔法 金承福(クオン代表)
〈連載〉
隣のジャーナリズム ブレる皇位継承報道 井上 亮(ジャーナリスト)
あたふたと身支度 第11回 戦争なんて地獄に落ちろ 高橋純子(朝日新聞)
午前1時のメディアタイムズ 第5回 ケイトリン・クラークは敵か味方か 若林 恵(編集者/黒鳥社)
片山善博の「日本を診る」(189) 県議への情報漏洩事案から「議会根回し」を診る 片山善博(大正大学)
「変わらない」を変える 第27回 反自由主義政治への転換 三浦まり(上智大学)
気候再生のために 第35回 異常高温の脅威 いのちをまもるための行動 高村ゆかり(東京大学)
ドキュメント激動の南北朝鮮 第336回(25・5~6) 編集部
記憶をもった鏡 平敷兼七『山羊の肺』 戸田昌子(写真史家)
岩波俳句 選・文 池田澄子(俳人)
アムネスティ通信
読者談話室
編集後記
表紙画――土屋未久(表紙・裏表紙 響く 2025)
キャラクター・扉絵――西村ツチカ
アートディレクション――須田杏菜 本文デザイン──大原由衣+都井美穂子