内容説明
師匠の鍛冶に誘われて、青森県新郷村にある発掘現場に向かった天才発掘師・無量たち。
東戸来遺跡と名付けられたその縄文遺跡の環状列石の下から、国宝級の赤い大型土偶が掘り出された。
だがそれを見た瞬間、現場作業員のいろはが「すぐに埋め戻して! じゃないとひとが大勢死ぬ!」と叫ぶ。なんと死んだ祖父が、イタコの口寄せで予言したというのだ。
さらにベテラン作業員の手倉森も、「きりすと土偶はやはり存在した、奥戸来文書は正しかった!」と異様な興奮を見せる。
一方、仙台のシンポジウムに出席していた忍は、偶然無量の父・藤枝教授と再会する。
無量とは犬猿の仲のはずなのに、藤枝は「その古文書の真偽を暴いてやる」と、忍と一緒に青森に行くと言い出して……!?
大人気発掘ミステリ、青森編!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
33
師匠の鍛冶に誘われて、青森県新郷村にある発掘現場に向かった無量たち。東戸来遺跡と名付けられたその縄文遺跡の環状列石の下から、国宝級の赤い大型土偶が掘り出される第十八弾。しかし土偶を見た瞬間それを埋め戻せという現場作業員のいろは、きりすと土偶はやはり存在したと興奮するベテラン作業員の手倉森。一方、仙台のシンポジウムで偶然無量の父・藤枝教授と再会する忍。縄文遺跡と隠れキリシタン、奥戸来文書を巡って地元議員の思惑も絡む中で、その阻止に共闘する藤枝と無量には驚かされましたけど、関係改善の兆しもあって良かったです。2023/12/18
Y.yamabuki
24
今作の読み所は何と言っても 無量と父親の藤枝教授が接近したこと。お互いの不器用さからか完全に仲直りとは行かなかったけれど、文献を主なフィールドとする藤枝と発掘師の無量は、良いコンビかもしれない。父親が悪い人ではなさそうで一安心。萌絵と無量の遣り取りは少な目で移籍話も余り進展は無し、けれど忍のことも少し分かってきて、これからが楽しみだ。 2024/02/22
秋良
17
青森にも隠れキリシタンがいたかも?という謎をなんと無量とパパが共闘して追求する。今回は文献資料を扱う難しさや偽書を見破れなかった時のリスクなどに焦点が当てられ、発掘は控えめ。昔の人がどんなつもりで書いたのかは分からないけど、後世の人間としては嘘は書かないでいただきたい。まあ難しいよね……。無量も藤枝教授も歴史に対して真摯で、不器用なとこも含めて親子そっくり。忍の気持ちも決まったようだし、そろそろ移籍関連の話は決着をつけてほしいところ。2024/04/15
香翠
17
無量君の移籍はどうなるの?藤枝教授が登場したことは、何かの伏線?など、本流以外の部分にも謎があるように思え、落ち着いて読んでいられない作品でした。2024/03/22
きょん
16
完全にオカルトネタだと思っていた東北のキリストの墓がそれなりに意味付けされているのが面白い。無量パパの印象が冷酷なこれまでと違い、仕事にストイックなあまり冷たく見えていただけに思えてきた。親子の雪融けも少し感じられて良かったけど、海外への移籍問題はどうなるのかな?2023/12/16