内容説明
江戸で火事が多発する折から、廻船問屋・徳州屋が開いた「おとな花火の宴」で怪事が発生。
池の上の闇に二間(約三・六メートル)にも及ぶ真っ赤な顔面が現れ、
やがて顔は燃え上がり、火花を散らして破裂した!
京都の怪かし・宗源火かと思われたが、根岸らの調べでからくりが暴かれる。
一筋縄ではいかない火事騒動の?末は?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えみ
65
シリーズの途中からでも楽しく読めたが、これは最初から読んで更に物語に没頭したいと思わせてくれる愉快さと怪異を解くワクワク感があった。江戸のユーモア万歳、「おとな花火の宴」という妖艶な妄想を掻き立てるものは実際、大の大人が男子小中学生の喜びそうな悪ふざけを活き活き楽しむ宴だった。笑ってしまうくらい良いセンスの塊は、火事が多発する事件の様相も例外じゃない。黒幕を囮に使うなんて粋なことをする!同じ著者の他シリーズや、シリーズ内の他の巻で活躍してきた登場人物達がそれぞれの個性や性格を生かして事件解明、鮮やか見事!2022/11/17
雅
52
頻発する火事に隠された真相を明らかにしていく。キャラクタ達の魅力がしっかり描かれていて面白い2023/01/30
ひさか
27
2022年9月文春文庫刊。書き下ろし。耳袋秘帳南町奉行シリーズ4作目。江戸の火事をテーマにした妖しい事件が勃発。いつものメンバーで、その謎を解き明かす過程が楽しい。ラストで、みごと解決となるのだが、根岸が解いた内容と新間の方が語る動機がイマイチ納得できなかった。さて、お糸さんは無事に次回も登場できるのか…。というところが楽しみです。2023/06/02
一五
15
雨傘屋の仕掛けなぞときの姿勢がいい。それぞれのキャラが立ってきたな。あっ おたかさんが出なかった2022/11/04
ふわりん
12
シリーズ最新刊を一番に読み、面白かったので既刊の三冊を遡って読んだ。どうやら間にもう一巻あるのに、私が利用している図書館にはないので残念。根岸肥前守を中心にそれぞれ得意技を持つ配下の同心たち、同心が使う岡っ引きの源次、江戸でただ一人の女岡っ引きのしめやその下っ引きの平賀源内並みの知恵者の雨傘屋などが謎を解いていく。捕物をする方にもされる方にもいろいろな事情があり、ただ事件が起こり解決するだけでなく根岸の人間臭い終い方がまた良いんだなぁ。他にも耳袋シリーズはたくさんあるけど、とりあえずこれだけ続けてみよう。2023/05/21