内容説明
加賀百万石の留守居役・瀬能数馬が、各藩留守居役との駆け引きを描く好評の書下ろしシリーズは最終巻。加賀百万石の筆頭宿老・本多政長は将軍・徳川綱吉に謁見したあともなお、江戸に留まる。神君家康の懐刀と言われた本多正信の血筋を引く重鎮である政長が、国許に戻らないため各藩の留守居役が加賀の若き留守居役・瀬能数馬に接触をしてくる。宿老不在の加賀では、越前福井松平家の国家老次席が訪れ、藩主の綱昌がかつて数馬に書かされた「詫び状」の返還を要求したのに対し、政長の息子である主殿は妙手を打つ。江戸城内、幕閣では、無役の名門・酒井家の処遇が取り上げられ、滞留中の政長と数馬にも影響が及ぶ。本多家に敵対してきた老中・大久保加賀守は代々の遺恨を晴らすために、配下に密かに命令を出す。加賀の前田家では、主殿が内紛をおさめた。一方ついに徳川御三家の紀州藩主が数馬の妻・琴を狙い動きはじめる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やま
79
紀州の忍び薬込役と、本多の忍び軒猿の激しい戦いが…。当初は、加賀前田家の筆頭宿老・本多政長の娘婿の留守居役・瀬能数馬の成長物語でしたが。政長が江戸に出て来てからは、政長の物語になっています。そして数馬は、政長に便利に使われているように映ります。此度は、紀州徳川家第2代目藩主徳川光貞が、5代将軍徳川綱吉の信頼を得ている本多政長との縁を取り戻したくて、瀬能数馬と仮祝言を挙げた娘の琴を我がものとしょうと暗躍します。あろうことか紀州の忍び薬込役を使って、金沢に居る数馬の妹・美津を琴と間違って拐してしまいます。2021/08/16
真理そら
59
完結。これまであまり登場しなかった数馬の実家?も登場して楽しく読了。シリーズの途中から本多の爺が主役かと思う雰囲気になった気がして奥右筆シリーズっぽかった気もする。作者はあとがきで「しれっと奥右筆秘帳の続編を始めるかもしれませんが」と意味深なことを…。2021/06/17
baba
38
最終章。留守居役の数馬の成長をもう少し見ていたかった。確かに剣は強いが、純真で成長が楽しみでしたが、今作も主役を本多政長に奪われてしまった。鮮やかな立ち位置、威厳に満ちた姿、将軍も一目置く言動。これにはかなわない。楽しませていただきました。2021/09/26
ガットウ
18
★★★3.8点。最終巻!チョッと不完全燃焼な気もするし、こういう終わり方でイイという気もする。2023/10/19
さく
17
江戸での留守居役に終わりが近づく。国元の琴との出来事や何か起こるであろう日々を楽しみに続くと。残念ながら、終わりました。生き生きと留守居役として、向かい合った若者を描き、とても元気がでる作品でした。加賀百万石を守る偉大さを、改めて知り、もっと加賀の歴史を知りたくなりました。2021/10/28