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内容説明
秘かに想いを寄せた男が戦死した。出兵の前日、男が想いを込めて描き上げた彼女の肖像画は裸婦像だった。その絵を巡り、遺された人々が葛藤する──。生者の魂を奪い、死者を蘇らせると噂の天才絵師と依頼者のヒューマンドラマ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はつばあば
40
幸子さんをモデルにして描いた蒔絵の天女は綺麗だけど淋しい絵だと。久住先生の絵も最初の絵は怖いと孫たちが落書きをしてしまったと。英二郎もこの巻で「鵺の絵師」からようやく解脱したようだ。今やれることをやっておかねば後悔する・・・私はずっと好きに生きてきた気がする。それを爺さんはきっと羨ましくてたまらなかったのだろう。その想いを今吐き出しているのだろう。ずっと穏やかな人で来たから・・晩年くらい許してやろう(笑)。2022/12/26
ネムコ
33
依頼人の心を解きほぐしていたヌエの絵師が自らの古傷と向き合う。前の巻で亡くなった恩師の肖像画と向かい合い、本当の師と再会した彼は、一番の悔いである死んだ恋人・幸子の作品と彼女の素顔を探して房総の町を訪ねるーー。弟子を取り、千人針の下絵を引き受け、少しずつ開かれてゆく彼の今後を見守りたい。2020/12/30
へへろ~本舗
7
開戦となり時局はどんどんと厳しくなっていく。皆の想いの詰まった千人針。辛く悲しい時代2020/12/17
fum_sz
4
新刊が出た時に、いちばんじっくりと大切に読んでいる作品かもしれない。作中の時間と人々の心が移ろっていく過程が丁寧に丁寧に追われていく。きっと思い描かれている結末まで見届けられるのだろうなという不思議な安心感を持ちつつ、どこまでも彼らの物語を見守っていたい。菅沼先生は相変わらずいい男です。2020/12/21
森 絢女
3
少しずつ、多くの情報が収束していきはじめて、時代背景に押し流される空気感も出てきて、ラストまで目が離せない展開になってきた 最後の二人の浜辺の絵、描けて良かったなぁと心から思った2020/12/21