内容説明
名探偵リンカーン・ライムが刑事事件の捜査から撤退。
連続殺人鬼「未詳40号」をアメリア・サックスは単身追うが――
殺人犯を追跡中のアメリア・サックスの目の前で、エスカレーターが通行人を巻き込んだ!アメリアの必死の救助活動もむなしく男は死亡、殺人犯「未詳40号」も逃走してしまった。
ある事件をキッカケにリンカーン・ライムがニューヨーク市警の顧問を退いた今、アメリアはライムの助力を得られず、その教えに沿って捜査をつづけるほかなかった。
一方ライムは、エスカレーターで死亡した男の妻から民事訴訟のために事故を調査してほしいとの依頼を受ける。ライムの弟子として働き始めた車椅子の元疫学研究者ジュリエット・アーチャーを交え、調査が開始される。なぜエスカレーターは不具合を起こしたのか。そもそもこれは事故なのか。犯人追跡のさなかに事故が起きたのは偶然なのか?
そして「未詳40号」ことヴァーノンが物陰からそっと眼を光らせる。自分を追う女刑事アメリア――殺人計画を完遂するためには、あの女刑事を阻止しなくてはならない……。
日常の道具を凶器に変える殺人者。鉄壁のパートナーシップが揺らぐ中、名探偵ライムと刑事アメリアは犯人を捕らえることができるのか。
ドンデン返しの魔術師の名シリーズ、第12作。
※この電子書籍は2017年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
135
ディーヴァーは色んなテーマを扱い、我々の生活と犯罪が実に近いところで繋がっていることを知らしめてくれるが、本書ではさらにその距離が縮まる。今回の敵が殺人に利用するのは我々の生活を便利するスマートフォンのアプリで遠隔操作するシステムだ。誤作動を起こさせて人を殺す、なんとも恐ろしい敵だ。生活が発展し、便利になるとそれを悪用する輩も出てくる。今回は便利さを利用して人を殺すという誰もが被害に遭いそうな犯行方法を生み出した。何とも恐ろしい犯行を、犯罪者を生み出したものである。あまりにリアルすぎて背筋が寒くなる。2021/09/09
future4227
62
リンカーン・ライムシリーズ12作目。エスカレーターの床下に落ちるって、つい先日、TV番組の世界の衝撃映像みたいなコーナーでやっていたな。ステップの下に落ちて体が歯車に巻き込まれて、モーターは止まらず・・うぅ痛そう。事故か?殺人か?構造上の欠陥か?家の中に実際にエスカレーターを運び込んで様々な実験を試みるライム。ただ、家の中にエレベーターっていうシチュエーションがどうにも想像できなくて・・どんだけデカい家なんでしょうか?2021/01/25
つねじろう
35
もうそろそろいいかなぁと思いつつもやはり買ってしまったぜ。感想は下巻で。2021/08/09
ぶんぶん
29
【図書館】ライムシリーズ、12弾! 相変わらずの滑り出し、ライムは市警を辞めてるし、サックスもパッとしない。 そんな時、エスカレ—ターの事故が起こる。 サックスは近くに居て事故の被害者を助けようとするが、その事故の調査にライムが絡んで来る。 そこに、元彼のニックが出獄してくる、プラスキーは昔の事件を再び洗い出す。 どうやら、エスカレーターは事故では無く、コンピューターを使った犯罪らしいとライムが気づく、果たして、この後どうなるのか、引き続き「下巻」へ。 2022/04/23
木村 武史
26
シリーズ12作目。サックスが未詳を追って現場に向かうが、何故かライムが登場してこない。なんとNY市警の捜査顧問を引退し、後継を育てるため教鞭を執ることにしたのだ。しかも刑事事件は取り扱わず民事事件の手伝いをする。今回は導入部分から意外な展開だ。結末に向かってどう集約していくか楽しみにしながら次巻へ。2022/04/13