ビッグコミックススペシャル カムイ伝全集 第二部（８）

著者名：白土三平【作】

小学館（2017/12発売）

• ISBN：9784091878731

内容説明

▼第1章／佐倉十一万石〔四〕▼第2章／不知火〔一〕（椿屋敷／罠）▼第3章／不知火〔二〕（罠／犬笛／拷問）

●主な登場人物／カムイ（夙谷の非人から天才的忍者に。現在は抜忍として逃亡の日々）、宮城音弥（貧乏御家人の子から青山美濃守の小姓になった美少年）、草加竜之進（武家社会に疑問を持つ、元日置領次席家老の子。行きがかり上、笹一角を名乗る）、正助（日置大一揆を指導した廉で舌を抜かれた元農民。庄左ヱ門と名を改め、土木測量に従事する黒鍬衆頭に）
●あらすじ／正助とともに、印旛沼の調査で佐倉藩に足を踏み入れた竜之進は、番衆小頭の荒木田朱門との真剣試合に臨む羽目に。だが、荒木田は酒井忠清の息のかかった密偵であった！　一方、窮地に追い詰められ、国元へ帰った佐倉藩主・堀田正信は、籠城を決意。幕府に対して臨戦態勢に入るが…[佐倉十一万石〔四〕]。
●本巻の特徴／竜之進らの説得により正信が籠城を思いとどまったため、堀田一族は改易を免れた。だが、堀田潰しに失敗した酒井は、矛先を北町奉行・石谷十蔵に向けた。不知火党首魁・冬木道無の娘・アヤメを捕らえ、不知火党をおびき出そうとするが…？
●その他の登場人物／酒井忠清（老中筆頭。下馬将軍といわれる権力者）、堀田正俊（若いが剛直・聡明で、酒井の専横に憤る）、堀田上野介正信（佐倉11万石城主。正俊の兄。武辺一筋）、冬木道無（腕の確かな医者だが、実は義賊・不知火党の首魁）、アヤメ（道無の娘。竜之進に恋している）、石谷十蔵（名高き江戸北町奉行）

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[みさと]

酒井忠清の策にはめられ謹慎中の堀田正信だったが、単身江戸を離れ国元佐倉藩へ戻る。家臣団に戦闘準備を命じ城を枕に討ち死にする覚悟。しかし、これも堀田一族をこの世から根絶やしにするための罠。正信の弟堀田正俊の命を受けた音弥が正信の挙兵を阻止。一方、この騒ぎに乗じて道無・アヤメら盗賊不知火党が堀田の城から２万両を盗み出す。しかし酒井忠清配下の隠密が不知火の動きを察知、アヤメを拉致し一党をおびき出そうとする。ここに竜之進ら、音弥、不知火党、カムイら忍びと非人衆が幕府権力と全面対決を辞さぬアヤメ救出作戦に動き出す。

2024/09/27

[田中峰和]

強すぎる竜之進だが、よほどの悪人でも命だけは奪わない。自分を罠にはめ悪事を続ける芸州も許し続けてきたが、今回は事情が違う。自分を愛し続けてくれるアヤメを誘拐し、命の危険にさらそうとした芸州は許せない。それでも命だけは助け、非人部落に押し込める。ちょっと矛盾するのは、芸州が助っ人に頼む剣術道場の連中を何１０人も斬殺してしまうところ。強さを表現するにしても、極悪人の芸州の命は助けるのに、それほどの悪人でもない連中を虫けらのように殺すのは不思議。囚われたアヤメは拷問で顔にも火傷を負うが、竜之進の反応やいかに。

2021/02/03

[チョビ]

不知火のピンチに立ち向かうのは、女の愛に気づいた男か？そして仲間はその男のために立ち上がる。 今虐げられるもの連合軍vs引越しのサカイを頂点とするクソ権力者との仁義なき戦いが始まる!辛い拷問も、愛する男たちが助けに来ると思えば耐えうることができるというアヤメの信じる心は感動以外の何者もない！コラ竜之進、スカしてるヒマがあったらチューしたれ?！

2019/01/29

[kinoko-no]

アヤメのひたむきさ、勇気に涙。

2011/10/15

[aki]

不知火党の首領、冬木道無の娘、アヤメが酒井忠清一派に誘拐された。アヤメとて只者ではないが、笹一角への愛情が正常な判断を狂わせたのね。後半はアヤメ救出へ動く笹、カムイ、宮城音弥、冬木らの動きと、彼らを一網打尽にしようとする酒井一派との企みが描かれる。カムイは外伝を経て、ある種、スーパーマンへと進化した。酒井をカムイが殺してしまえば、一挙に「戦局」を打開できると思うが、そうはいかんのかね。芸州は、どこか憎めないところがあるから、笹も…なんて言ってる場合じゃなくなったけど。

2023/06/11