内容説明
小兵衛は今も時折、二十六年前、門弟滝の仇討ちに立会った際の、相手方の助太刀山崎との死闘を思い出す。「生きていれば名ある剣客になっていたろうに」。そんなある日、蕎麦屋で見かけた崩れた風体の浪人は、敵討ちを成就し名をあげたはずの滝だった。そしてその直後、奇しくも小兵衛は、清廉に生きる山崎の遺児に出遇う。老境の小兵衛が人生の浮沈に深く思いを馳せる、シリーズ最終巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
157
シリーズ最後の巻で長編になっています。あとは番外編を残すのみとなりました。この話では昔に絡んだ物語が多く懐古的な感じになっています。かたき討ちに際して助太刀をした時の男や主人公が助太刀同士で闘った相手の息子、また主人公が道場などの物入りで金を借りた金貸しとその息子などが絡み合っての話で後味は良かった気がします。鬼平で出てきた五鉄が出てきています。番外を読んだらコミックでも読みなおしましょうか?2017/09/18
優希
106
剣客商売最終巻になります。老齢の小兵衛が人生の浮枕について思いを馳せているのもありますが、最終巻に相応しい内容になっていると思いました。少し切なくて寂しい空気を纏っているのを感じます。剣客として生きてきた人生から隠居を考えているのかと憶測してしまうほど、これからどのような人生を歩むのでしょう。大治郎と三冬の今後も気になるところ。色々感慨深いですね。番外編も読まなければ。2017/07/28
KAZOO
91
シリーズ最後の巻で長編になっています。あとは番外編の3冊を残すのみとなりました。この話では昔に絡んだ物語が多く懐古的な感じになっています。かたき討ちに際して助太刀をした時の男や主人公が助太刀同士で闘った相手の息子、また主人公が道場などの物入りで金を借りた金貸しとその息子などが絡み合っての話で後味は良かった気がします。鬼平で出てきた軍鶏鍋屋の五鉄が出てきています。16冊すべての解説は常盤新平さんだったのですね。2023/11/17
ken_sakura
67
変わらず面白い(^_^)終わってしまうのが悲しい最終巻。6篇の短編集のような、6章の長編のような、とても上手い(^。^)又六と杉原秀の組み合わせは結構しっくりくる(^。^)帳尻はあっているけど、67歳の小兵衛まででなく、93歳の小兵衛まで読みたかった(;_;)まだ番外編があるけど、さよなら、小兵衛、おはる、大治郎、三冬、弥七、傘徳( ; _ ; )/~~~通して、とても面白く読み易い物語でした。と共に、私が今、十年後、二十年後に読んだら各々違う受け止め方になりそうな感じの味のある物語でした(^_^)2018/12/22
Makoto Yamamoto
59
再読。 別巻の「包丁ごよみ」はあるが剣客商売のシリーズの最終巻。著者が最終巻を意識していたのかどうかはわからないが、十分のその役割を果たしていると思う。 田沼意次時代の終焉、小兵衛の長生き、弥七等関連登場人物の寿命にも触れている。 今巻は、26年前の敵討ちに小兵衛が助太刀するシーンが冒頭にあり、関連の人物が役割を果たすなか、杉原秀と又六の関係もいい。 小兵衛が中心で、大五郎の登場はほんの僅かではあったが、十分その役割を果たしている。 「包丁ごよみ」の次は何を読むか思案。。。2021/11/14