内容説明
小兵衛は見た。凄腕の二人の浪人者をたちまちにして蹴ちらした、その巨漢の剣客の手並みを。男の名は波川周蔵。「あの男ならせがれでも危い」。波川にいわれなき胸騒ぎを覚えた小兵衛は、やがて大治郎襲撃の計画を偶然知るや、卓抜した剣客の直観で、その陰謀と波川との見えざる糸を確信する。秋山小兵衛六十六歳、一剣客として父として、その血は熱く沸いた。シリーズ第14弾、特別長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
147
本当に池波さんは老人の心をうまく描いていると思われます。やっと主人公も普通の人間らしくなってきたと思えました。自分に重ね合わせてしまいます。息子の腕前を信じてはいるもののそれ以上の敵になりそうな人物を見かけて心配になったりします。長編ですが読みでがあり後味もすっきりしています。2017/09/14
ゴンゾウ@新潮部
112
剣客シリーズ第14作。小兵衛さんの良い意味での老いを感じる。剣客の顔から良い父親、良い爺になっていく。今回のテーマは、人は変わるものということだろうか。その影響で 人間関係も変わっていく。浪人 浪川周蔵。運命に翻弄され暗殺者となってしまう。最後に踏み止まれてよかった。2018/07/18
優希
102
シリーズ14作目は珍しい長編。小兵衛の父としての想い、大治郎の剣客としての成長を見たようです。ある時不穏な凄腕の剣客を見た小兵衛の胸騒ぎが、やがて大治郎暗殺の計画を知ることになるとは偶然のようで必然のように思えました。その心乱れる姿は普通の父親の姿に重なります。反面、大治郎の落ち着きは大物感がありました。暗殺者の狙いの謎が明らかになるにつれ、大きな渦が巻いていくのを感じます。サラリと読めますが、大きな事件を描いているのが意外な味わいでした。2017/05/04
KAZOO
95
14作目ということで、このシリーズも最後近くなってきました。むかしの友人を前回の話で亡くして小兵衛は少なからず気持ちが落ち込んできています。そこの老人の気持ちをうまく池波さんは書かれています。今回は長編ということで、反田沼の包囲網が徐々に姿を現してきています。それに伴う事件ですが最後はどうやら決着をみますが、この事件が解決した後に田沼の息子が・・・、ということでいよいよまく日が近いということなのでしょう。2023/11/10
もんらっしぇ
82
本日6月21日は、1年で最も昼の時間が長い「夏至」ではありますが、世の中的には「父の日」でもあるそうな…さて、そろそろ最期が見えてきた本シリーズも、数えれば第十四巻目に。今回は短編集ではなく特別長編。思えばここまで遠い道のりのようでもあり、あっと言う間に来たような気も。そして、主人公・秋山小兵衛。彼の(大治郎に対する)「父」としての物語でもあったなぁ、と、本巻を読み終えた、いまこの日に思い至りました。齢(よわい)六十六となり、話の端々に『老いた』表現も(>_<) → 2026/06/21




