内容説明
祖父の代から目黒に道場を構えていた小野派一刀流の剣客・波切八郎は、御前試合の決勝で敗れた秋山小兵衛に真剣勝負を挑み、小兵衛は二年後の勝負を約した。それを待つ身でありながら八郎は、辻斬り魔に堕ちた門弟に自首を促すことができずに成敗してしまう。道場を出奔し浪々の身となった八郎は、想いを通じた座敷女中のお信にそそのかされるまま、お信の敵、高木勘蔵を討つ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
123
番外編で、主人公の若かりしころのはなしである剣豪(波切八郎という名で主人公の息子と同じような育て方-すなわち剣一筋ーをされます)の生き様が主題となっています。この剣豪が弟子を殺害してしまい、表舞台に出れなくなってさらに女がからんで、という感じでミステリー的な要素が強いものになっています。主人公の最初の奥さんの話も出てきます。2017/10/01
優希
93
面白かったです。小兵衛が若かりき頃の物語。とはいえ、小兵衛は脇役のような感じで、波切八郎が主人公。剣に一筋であるが故に小兵衛に真剣勝負を挑む一方で、門弟を手にかけるとか辛すぎます。浪人になるものの、世間知らずの性格が吉と出るか凶と出るかは今後のあり方によってでしょうね。下巻も読みます。2017/07/31
ken_sakura
55
安心の面白さ(^_^)時は徳川吉宗の晩年の頃、小兵衛がお貞(大治郎の母親)と夫婦になる少し前。無外流秋山小兵衛32歳、小野派一刀流波切八郎28歳の二人主人公の趣き。大きな大会で決勝を戦った二人は二年後に真剣勝負を約す。波切八郎は道を外した弟弟子を斬ることで、小兵衛は隠居する師匠の道場の始末に往生して、行方をくらませ勝負の準備に没入する。波切八郎に起きる出来事がミステリアスで読まされる。二人の勝負、互いの道行きの交差はいつ訪れるのか?弥七と傘徳が居なくて寂しい。八郎の兄弟子三上達之助の退場が惜しい(>_<)2019/03/02
せ〜ちゃん
46
★★★★★『剣客商売』番外編。 上下巻共に…分厚く、本編の約1.5倍♡ 続いて下巻を読まないと! …また夜更かしだな(//▽//)ゞ2018/03/10
matsu04
44
番外編の上。物語は小兵衛32歳の時に遡る。その小兵衛に真剣勝負を挑んだ波切八郎。彼は、辻斬り犯人だと分かった弟子を自ら成敗した28歳の、剣術一筋に生きてきた真面目な若き道場主であった。が、何やら謎めいた人物たちと関わるようになって…、ううむ、どうにも話が長いしややこしくなかなか前に進まない。下巻へ。(再読)2021/10/05