内容説明
得体の知れぬ目眩に襲われたその日、小兵衛は、恩師・辻平右衛門ゆかりの侍・井関助太郎を匿うことになる。井関は手負いで、しかも曰くありげな小さな男の子を連れていた。小兵衛にすら多くを語らぬ井関に、忍びよる刺客の群れ。小兵衛は久しぶりに全身に力の漲るのを感じるのだった。一方江戸城内では、三冬の父・田沼意次が窮地に……表題の特別長編に、短編「おたま」を併録。シリーズ15弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
156
この巻には一つの短編と長編が収められています。短編は題名にある通り猫の話でいい味わいのある話です。長編では、いよいよ年相応になってきたのか目眩が主人公をおそいます。それでも敵が来るとからだが覚えていたりして敵を追い払います。いよいよ最後に近づいたのか、田沼の息子が城内で切られたりして陰りを見せはじめます。もうあと1冊で終わりなのでそろそろ幕引きを考えているのでしょうか?2017/09/15
ゴンゾウ@新潮部
114
今回も鮮やかに難事件を解決。本当に強過ぎる。冒頭で謎の目眩が小兵衛さんを襲う。さすがに歳には勝てないなと思いつつも、事件が起こると大活躍。今作も脇役がしっかり脇を固めて安定の面白さ。老境に差し掛かる小兵衛さんが池波先生と被ってしまい寂しさを感じてしまう。シリーズもいよいよ残り1冊。名残り惜しい。2018/11/24
優希
107
剣客商売15作目ともなると、小兵衛の歳を考えてしまいますね。目眩で倒れてしまうとか、確実に年齢は感じさせられるもの。かと思えば、事件の匂いがすれば大勢を相手に大立ち回りを演じるのだから、歳は老いつつもまだまだ剣客としては健在なのでしょう。最早ここまでくると達人の域と言ってもいいかもしれません。シリーズも残りわずかという寂しさもありますが、小兵衛のような歳の重ね方は充実したものだと思わざるをえません。2017/05/20
KAZOO
100
この巻には一つの短編と長編が収められています。短編は題名にある通り(猫の名前で「おたま」)猫の話で人を切る話が多いのですが癒されます。長編は、いよいよ年相応になってきたのか目眩が主人公をおそいます。この題名の通り二十人を相手にします。いよいよ最後に近づいたのか、池波さんの中では田沼は比較的いい人物と思われていますが敵も多くなり、田沼の息子が城内で切られたりして陰りを見せはじめます。もうあと1冊で終わりなのでそろそろ幕引きを考えているのでしょうか?2023/11/15
ken_sakura
65
変わらず面白い(^。^)短編一つ長編一つ。短編は小兵衛と猫のお話「おたま」。長編も主人公は小兵衛。サスペンス調。眩暈を感じ、碁敵の名医小川宗哲に身体が老人になり始めたと告げられる小兵衛六十六歳(おかしい(^◇^;))が十九人+一人を「二十番斬り」。油揚をいれた湯豆腐が美味しそう。2018/11/18