内容説明
その夜、新興財閥伍代(ごだい)家では新築披露パーティが華やかに行なわれていた。そこに集(つど)った人々の愛と希望と夢と野心を呑み込んで、戦争の歯車はゆっくり回りだした。激動の中国大陸、ファシズムの日本を舞台に、綿密な取材と圧倒的な筆力で描かれる戦争の構造、人間の条件。戦争文学の一時代を画す、不滅の金字塔、待望の文庫化!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
James Hayashi
27
事前情報なく読み出したので、読みやすさに驚いた。もっとギシギシ堅苦しい戦争ものだとばかり思っていた。すでに絶版であり古書は2000円以上する。兎に角大河小説らしく、個性的な人間が描かれている。満州で生まれた著者が描く満州と戦争。軍属ばかりでなく市井の人や満州の人間も描いている。少年少女も描かれているが、どの様に物語が展開していくのか楽しみである。次巻へ。2020/12/28
しんすけ
15
昨今のキナ臭さは世界大戦争が間近である証明なのかもしれない。 参議院選で憲法改悪集団が2/3に達しなかったことで安堵しているものも多いが、あと4議席取れば2/3に至った状況を鑑みると安閑としては居られない。 3年前に船戸与一『満州国演義』を読んだ時も似た気持ちだったが、いまはもっと深刻になった気がする。 『満州国演義』は『戦争と平和』に似てドラマの中から戦争の悲惨さ描きだすことが主眼だったが、『戦争と人間』は当時(1926年~)の記録を綿密に追うことでドラマを形成している感が強い。2019/07/25
宮永沙織
13
船戸さん以外の人の満州が読みたくて選びました。体験された生々しい経験を読み切る覚悟を決めなくてはと思わせる作品。済南事件から渡辺銀行取り付き騒ぎそして張作霖爆殺まで1で描かれている。今のところ登場人物の多さに混乱しているが読み進めると肉付けされていくのかな。2010/12/07
さつきんぐ
2
日本が起こした侵略戦争、満州事変について知りたくて読みました。時代背景、ヒューマニズム、読み込むうちにすっかりはまってしまいました。学校の教科書にも採用してほしいくらいです。長編で大変ですが続きをよんでみたいと思います。2010/12/06
松本 類
0
三一新書1,2にて読了2022/08/15