内容説明
標(しめぎ)耕平の逮捕。順子(よりこ)の心痛をよそに、官憲の苛酷な尋問と拷問が続く。一方、満州の伍代俊介にも、遂に召集の日が来た。日本とドイツの破竹(はちく)の進攻をみて、俊介の部隊は勇躍ノモンハンに出兵した。しかし、そこで俊介が見たものは、無謀な作戦の下、肉弾突撃させられる兵士の死屍累々(ししるいるい)たる地獄の戦場だった。痛恨と戦慄の第6巻!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あらたん
55
ノモンハン事件、圧倒的な物量差を前にしても冷静に撤退戦を考えることはなかった。南京政府の承認、これが太平洋戦争に向かう本当に最後のポイントオブノーリターン。中国の状況は複雑怪奇であり蒋介石とそれなりに有利な条件で和平する道はたくさんあったとやはり思わざるを得ない。ただ、日本は軍部独裁でもはや冷静に物事を判断できる状況ではなかった。 したし、同時に読んでいる二つの祖国や大地の子と合わせて考えると、非常時における合理的思考の欠如は日本人特有のものではなく人類の持つ哀しい性なのかもしれない。2024/09/22
James Hayashi
16
ノモンハン事件など。2021/01/02
しんすけ
13
1939年になると財閥の子息俊介も兵役は免れなかった。彼の任地は満州北部、ソ連との国境近くである。 俊介に過ぎるのはソ連と戦うにはソ連の数倍の軍事力、最悪でも同等の軍事力の必要性である。 しかし現実の日本が要する戦車数はソ連の1/10にも満たないものだった。 しかし指図する者が口にするのは「一人一台やっつければ、歩兵の決戦だ。チャンコロみたいな負け犬根性を出しやがると、承知せんぞォ」なる非論理だ。人間一人が戦車一台より強靭だと本当に考えていたのなら、気違いでしかない。2019/08/13
あっちゃんのパパ
1
評価=3:WOWOWで映画「戦争と人間」3部作の放送を観た。映画は映画会社の経営不振により中途半端で終わっていたため、原作を読んでみようと思い立った。とにかく登場人物が多いので、映画での役者を調べて思い出しながら読み進めた。ロシアのウクライナ侵攻は、日本の中国侵攻にも重なるところがある。2022/11/02
松本 あゆみ
0
三一新書11,12にて読了2023/06/04