内容説明
船頭として生計をたてる南町奉行所の元定町廻り同心・沢村伝次郎。偶然、客として乗せた一人の女を助けるが、それが、とんでもない大騒動に伝次郎を巻き込むこととなる。一方、“元同僚”の定町廻り同心・松田久蔵からは「二つの殺し」の探索を頼まれる。一見、すぐに解決しそうな事件だったが、伝次郎の前に大きな壁が立ちはだかる。好調シリーズ、会心の第13弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とし
110
剣客船頭「みれん堀」13巻。伝次郎さん自身のお節介で抱え込んだ事件、今一つは定廻り同心松田久蔵さんからな探索依頼どこかで繋がるかと思っていたが、全く別仕立て殺と知の二本立ての様な物語でした。2016/04/28
真理そら
7
「男と女の未練」について鈍感だと伝次郎は千草に責められた。が、伝次郎はそのあたりの機微を男としては理解している方だと思うが…。めずらしく「あとがき」がある。津久間を討ち果たしてからの物語のカラーの変化についてお書きになっている。ミステリー色を強めたとのことだが、それ以前に物語が別物になっている気がして仕方がない。ま、伝次郎のお節介ぶりが楽しいからいいけど。2018/01/09
アニータ
2
伝次郎のお節介というかお人よしぶりが出ている1冊かと思います。そして、人に対する気遣いをみせる一方、悪人とはいえ、叩き斬ったあとに素知らぬふり、というのはギャップがありすぎのような気も。2021/03/06
ひさか
2
2015年11月刊。文庫書下ろし。シリーズ13作め。お節介な伝次郎は、客となった女の家族を救うために、はずみとはいえ、とんでもない暴挙にでるが、運良く、何事も無く済んでしまうというあたりの成りゆきが面白かった。推理部分に力を入れたと、あとがきにありましたが、軽めの内容で、ちょっと肩すかしです。2016/01/28
goodchoice
2
このシリーズもはや13巻となり、仇討ちを果たした後、剣客というより岡っ引き船頭になってきたと思っていたら、筆者のあとがきでそういう路線に変更してきた、とあり納得した。この13巻の中ではいわゆる「未練」という現在では死語に近くなったテーマが主要な題材となっており、なかなか考えさせられる。未練、決していい響きはないが、人間らしい感情としては私は好きだ。2016/01/02