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内容説明
中世ペルシア語からアラビア語に訳された説話をもとに,各地の説話を糾合して16世紀のカイロで編まれたアラビア語文学の傑作。アラビア語原典からの完訳版。第14巻は,第680夜から第738夜,女ペテン師の話,怪盗の物語など,長短16話。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
7
価値は美醜で決まり、信用は騙す経験と技量で決まる。それらを決めるのは権力者だが、その基準を作り出すのは砂漠をわたる商人やバザールに繰り出す市井の人々である。教王の献上品となる少年や少女の奴隷の美しさは、権力者を騙しから守るほどの価値があるが、信用は権力者の警護役を混乱させるほどの騙しの技量によって勝ち取られる。一見、資本の集積や流通を物語化したようなエピソードが多い本巻だが、むしろ、美醜を決める規律や敬虔さと信用を決める変装や魔術の技量のほうが権力や経済を支えているように見えてくる(第680-738夜)。2022/08/24