内容説明
日露戦争開戦前夜の一九〇二年。青森県・八甲田山で起こった雪中行軍遭難事件(死者百九十九人)は当時の社会に驚愕と悲嘆を巻き起こすと同時に、惨事への好奇のまなざしを生成し美談をも生み出していった。死者はどのように慰霊・顕彰されたのか。そしてこの未曾有の出来事の記憶は誰によって編集されていったのか。新聞報道や防衛省所蔵の公文書、聞き取り調査などからその経緯を丹念に追い、大日本帝国の形成期を問い直す。
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目次
まえがき
第1章 雪中行軍の歴史的背景と遭難の衝撃
1 東アジアの二つの帝国
2 行軍と遭難
3 救援活動から捜索活動へ
4 ニュースとしての遭難
5 悲しみと批判
第2章 陸軍と政府の対応、地域社会の反応
1 遭難事件と法制度――閣議決定から勅令へ
2 悼む明治天皇
3 死者の弔い
4 責任者の処遇
5 吊魂祭の執行と陸軍墓地の建設
6 陸軍による民衆感情の調査
7 徴兵忌避の発生
第3章 惨事への好奇心――見世物から映画へ
1 見世物化する遭難
2 ジオラマ
3 幻灯
4 演劇
5 生人形
6 見世物から映画へ
7 カットされたシーン
第4章 美談のイコノグラフィ
1 発見された二人の遺体
2 献上と叡覧
3 美談の構造と欲望される変死
4 振天府と遊就館
5 図像の検証――もうひとつの死の姿から
第5章 仮死の紀念碑
1 仮死状態で立つ銅像
2 建設の経緯
3 銅像と美談の間
4 遭難紀念碑の二十世紀
5 雪中行軍異聞
第6章 遠い靖国
1 靖国神社合祀のフォークロア
2 靖国神社とは何か
3 合祀をめぐる議論
4 合祀否決
5 霊魂のゆくえ
終章
1 二つの帝国の間で
2 黒溝台会戦の実態
3 百年ののちに
あとがき
索引
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ちゃま坊
HANA
Naoya Sugitani
sendagi1130022
onepei