「家庭の味」の戦後民俗誌 主婦と団欒の時代

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「家庭の味」の戦後民俗誌 主婦と団欒の時代

  • 著者名:矢野敬一
  • 価格 ¥3,740(本体¥3,400)
  • 青弓社(2014/03発売)
  • ポイント 34pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784787220219

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内容説明

ポジティブなイメージとして語られる高度成長期に農村部で拡大した自家製味噌造りや調理方法のリテラシー、旧正月から新正月への移行などを題材に、戦中から戦後に編成されていった「主婦」「家庭」という規範を読み解き、日常生活の微細な、しかし決定的な変容の実相に迫る。
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目次



第1章 ふるさとの味をめぐる戦前──高度成長期前史の農村女性
 はじめに
 1 地方の食へのまなざしと「名物料理」
 2 大正期の代用食論議と地方へのまなざし
 3 栄養への関心と「新農村料理」
 4 「郷土食」と「国民食」
 おわりに

第2章 「主婦」役割の編成と味噌自家醸造法の改善指導
 はじめに
 1 改善指導前の味噌の社会的布置
 2 味噌をめぐる認識の布置の再編成
 3 味噌醸造の場での社会的関係性と「主婦」役割の意識化過程
 4 生活改善実行グループと多様な食の世界の広がり
 おわりに

第3章 調理の習得とリテラシー──「主婦」役割の受容と「家庭」意識
 はじめに
 1 調理の習得と変容する台所
 2 農村女性とリテラシーへの回路
 3 「おかず帳」と多様な料理への回路
 4 高度成長期と農村女性
 おわりに

第4章 旧正月から新正月へ──「家庭」中心の年中行事への移行
 はじめに
 1 旧正月から新正月へ
 2 生活世界の拡大と新正月への移行
 3 焦点としての「家庭」
 おわりに

第5章 お盆の戦後──帰省ラッシュ・成人式・盆踊り
 はじめに
 1 藪入りから帰省ラッシュの時代へ
 2 盆と成人式
 3 盆踊りの高度成長期
 おわりに

第6章 「名物」の味/「家庭」の味──端午の節句と笹団子の現在
 はじめに
 1 笹団子の名産品化と表象される「新潟」
 2「米どころ新潟」と笹団子
 3 山北での笹団子の受容と現状
 4 菖蒲の節句行事の再編成
 おわりに

あとがき

索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

小鈴

16
最初から最後まで読むと、農村の共同体が解体され公/私が分離して私空間、「家庭」が成立していくのがわかる。農業の労働の担い手である嫁(家事は姑、嫁は農作業。姑いないと子どもが家事)が、国家政策のあとおしによる「主婦」という位置づけを与えられて嫁の地位を向上し、公私分離した家庭の「団欒」が生まれる。疲れた体を癒すためのかっこむだけの沈黙した食卓から会話が生まれる。生活改善運動で様々な栄養のあるおかずの作り方を学ぶ。華やかになる食卓。団欒のある食卓は、都市を除けば、農業の技術進化で農作業の負担が軽くなり、かつ高2017/01/05

小鈴

15
『家庭料理の近代』ではまったく触れられていなかった料理の政治性を理解した。大正期の生活改善運動が農村に広がり「主婦」という性別役割規範が浸透、戦局悪化で大政翼賛会が代用食探しとして「郷土食」を掌握するため各種調査(先に読んだが昭和10年代の郷土食の記録『聞き書愛知の食』の背景を知って愕然)。現在の味噌の味は、江戸から味覚を継承したものなんかではなく生活改善指導による近年のもの、旧正月から新正月への移行は戦前の話ではなく昭和30年代、共同体から家庭に正月が撤退。主婦の浸透は重労働からの開放の面もあったなど。2017/01/05

高橋直也

0
図書館の本。戦後の昭和の時代を振り返る本。景気が上向き、しきたりや伝統が廃れた時代のように感じていましたが、私はその時代に生まれ育ったのだなぁと感慨深いものがりました。世の中が便利になって廃れたものも少なくないけれど、懐かしく読ませていただきました。2020/10/04

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