内容説明
“君の胸の奥のその「動機」とやらは、実は空っぽなんじゃないのかい……?”ブギーポップに復讐する。ただし誰のためでもなく、己自身のために──その執念に取り憑かれた少年が、内気な少女織機綺と共に“牙の痕”と呼ばれる地に足を踏み入れた時、混迷は幕を開ける。メビウスの輪のように表裏も定かでない異界に迷い込んだ二人の前に現れたのは、心の闇から顕れた爆弾の群と、鬼とも人ともつかぬ奇妙な子供“ブリック”だった──己の迷いに気づけない少年と、迷いの弱さに悩んでいる少女と、何処に行くべきかさえ知らぬ魔物が彷徨う──そこは境界。果てなき虚空と、儚き想いとの狭間に位置する迷宮に“破壊”が渦を巻くとき、死神が人に告げる言葉は断罪か、赦しか、それとも──
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青味泥シンカ
1
ジョジョ引用の多さと、広がるばかりでなかなか閉じない世界観(具体的に言うと、霧間凪の例のアレ)についていけなくなってシリーズを追うのを辞めてしまった決定的作品。十年以上前に読んだ時には、この辺りでシリーズ完結と思っていたのもあり、明らかに続いていく展開への伏線作りに業を煮やしたものですが、"そういうものだ"と理解し、かつ外伝(ディシプリンと後悔)を追わずに読み終えた今は、『路傍のピクニック(映画版の要素もある)』風の異界探索に、ひたすら曖昧な惑いの感覚、侘しく切ない真相が心地良く、素直に楽しく読めました。2023/11/04
らいら
1
とあるきっかけで、山に閉じ込められてしまった織機綺と蒼衣秋良が頑張って脱出するお話。 話としては悪くないのだけれども、メインラインの織機綺と蒼衣秋良の部分は話が淡々と進むだけで、他のブギーポップと比べてもそこまででも、という印象。一方、メインライン以外では、色々と重要な過去の話が明かされてゆくため、ブギーポップ全体から見ると重要な位置を占めているのだろう。2022/03/12