内容説明
ポルノグラフィ──受け手を性的主体として産出し構成する、セクシュアリティの装置。その技術・演出の存立と社会的・歴史的変容を緻密な言説分析によって具体的に読み解く。「セクシュアリティの近代」を再考し、脱構築する試み。
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目次
まえがき第一章 ポルノグラフィをめぐる言論状況第二章 多元的現実論と言説分析第三章 ポルノグラフィの誕生──『ファニー・ヒル』第四章 性科学とポルノグラフィ第五章 「ポルノグラフィ有害」論とオナニー問題第六章 二十世紀におけるポルノグラフィの勃興第七章 セクシュアリティの装置による服従=主体化第八章 セクシュアリティの装置としてのポルノグラフィ第九章 日本のポルノグラフィ第十章 現代日本のポルノグラフィ──アダルトビデオのポリティクスあとがき参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きいち
14
もしポルノがなかったら、自分の性的趣味を言語化することは考えにくい。そしてその趣味と、相手のいる現実にはギャップがあることを「当たり前」と笑い飛ばせるのは、ポルノが「ファンタジー」を供給してくれているからかも。それは確かに、恋愛の主体や生殖の主体とは別に、「性的主体」を確立すること。「性への自由」がない社会で性犯罪が多いのは、そのギャップが抑圧されてしまうからだろう。有害図書規制は、かえって有害だな。◇一方、「性からの自由」。この本ではアイデアの提出のみだが、展開可能性がとても大きなアイデアだと感じた。2013/05/02
富士さん
4
ポルノを欲情させるための物語としてだけでなく、自分が欲情すべきものを学ぶ物語として、転倒して捉えるのはおもしろい切り口でした。そのためには教えられる主体が不動なものとしてなければならないため、本書では主体を前提とする告白調の作品からポルノの歴史を描いており、そして主体からの視線を採用しない春画に特殊性を見ているのだと理解しました。しかし、主体云々を言い始めると簡潔なポルノの定義は適応しづらくなり、はじめのフェミニズム的、実在的ポルノ観への批判とのつながりもつかめなくなり、どこかモヤモヤ感が残りました。2021/05/20
kenitirokikuti
3
1996年刊行。「猥褻(=ポルノグラフィ)有害」論…1868英クイーン対ヒクリン判決。猥褻物はひとを腐敗堕落させる、と定義した。「猥褻反価値」論…1957米ロス判決。好色的な関心に訴え、しかも埋め合わせとなる社会的価値がない▲逆に、猥褻表現は、性的なタブーを表現する自由とする立場▲フェミニズムの「反ポルノ」論。猥褻否定のうえ、女性に対し差別的暴力的な表現一般がポルノとする。ラディカルフェミ運動で採用されがちなのは、現存する性表現は全て女性差別表現であるポルノであり、また現実の反映とする(ファンタジーでない2017/07/05
伊野
3
初版が1996年8月とやや古く、例として挙げられる作品等も寡聞にしてほとんど知りませんでしたが、フーコーに基づく通底する思想〈自己のアイデンティティーを再認するためのポルノグラフィ〉は現代に通ずるものがあると思います。ポルノグラフィが他者に対する偏見材料になりうるのでは、と考えることはあっても、自己を再認識する材料になり得るとは思い至りませんでした。しかし、「AVオナニ-空間」という表現はなかなか直球ですね。あと、あとがきで筆者の思想の根拠が知れたのも勉強になりました。2011/11/01
わす
0
18世紀に性愛と生殖が分離→ポルノ誕生。19世紀に性科学と相互循環的関係を結び、性倒錯表現が横行。20世紀に入ってオーガズムが支配的なテーマに。2024/12/08
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