内容説明
新大陸発見に続く、先住民インディオへの収奪と駆逐のうえに築かれた、永遠の繁栄の神話の実体を冷徹な史眼で描ききる。巨視的な南北アメリカ全史を概観しながら、明暗の本質に迫る画期的試み。
目次
新大陸の明暗
新世界との邂逅
植民競争の時代
ラテン・アメリカの植民地時代
アングロ・アメリカの植民地時代
立ちあがるアングロ・アメリカ
独立戦争
合衆国の膨脹
革命の英雄たち
ラテン・アメリカの苦悩
カナダの試練
南北戦争
奴隷解放と再建
アメリカ資本主義の内幕
南下する北方の巨人
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
がんぞ
4
CivilWar南北戦争は第一次世界大戦までは人類最大の戦争で、北部の《統一》と南部連合の《独立(13州宣言に習う)》という共に大義の衝突であった。勝った北部は南部を植民地化し共和党はFDRまで永続政権となったが、1880年代から“黒人(ほとんど文盲)投票権剥奪運動”が起こったように。ふたつの大義、《正義》と《秩序》は共和・民主二大党で入れ替わった‥/『‥明暗』とは合衆国、カナダの伸長と、ラテン圏の中南米の政治的混乱のみならず、成功したUS国内でも貧富の差の拡大(黒人票を恣意運用‥)、先住民族の抹殺など‥2016/08/31
フェイ
3
コロンブス来航から第一次世界大戦終了頃までの南北アメリカ史。 紙幅に比べて扱う範囲が広すぎるため、スピードが凄まじい。 移住を前提とした北アメリカ植民地、冒険者として稼いだ後に本国での成功を夢見て略奪された南アメリカ植民地。植民地としてのスタートラインが違っていたことから、資源も環境も似ていながら違う運命となってしまった。そして、独立後のアメリカ合衆国は発展して世界最大の大国となり、南北アメリカ大陸全土を己の勢力下におこうと画策する。とはいえ、永遠の繁栄など存在せず、大不況の足音が近づいてくるのだった。2015/03/29
じょあん
2
まさにタイトル通り。著者の見方としてはどうやら「明」はアングロ・アメリカの政治・経済とラテン・アメリカの人種関係、「暗」はアングロ・アメリカの人種問題とラテン・アメリカの政治・経済ということらしい。その明暗の差は何に由来し、どういう過程をたどったのかが分かりやすく述べられている。2023/01/29