内容説明
マホメットの教えを奉ずるイスラムの民は、東へ西へとジハード(聖戦)の旅をつづけ、大サラセン文化圏の成立をみる。世界史の重要な鍵をにぎるイスラム文明圏の苦闘と栄光を描いた第一級の概説書。
目次
ササン朝ペルシア
アラビアとイスラム
預言者、マホメット
メディナのカリフたち
ウマイヤ朝時代
揺らぐ世襲貴族王朝
黒旗、黒衣の時代
バグダードの栄華
マグリブとアンダルス
ブワイヒ朝とファーティマ朝
チュルクとモンゴル
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆったま
5
こちらも「西域」と同様イスラム史の概観という印象。いくつもの王朝が勃興し、滅ぶ。その度ごとにそれぞれの王朝の物語がそこにはあるのだ、という作りになっている。多分歴史地図帳や年表などを片手にしながら、ゆっくりその栄枯の様を追っていくのが正しい読み方なのだろうと思う。もう少しイスラムの教義や精神性にも触れた内容になってくれると嬉しかったが、これ一冊では求めすぎか。だが世界史と言えばヨーロッパ中心の精神史の事だ、という中で、まさに「東洋的専制主義」とは違った歴史の可能性もあることを、どこか垣間見せているとも思う2020/03/22
牧神の午後
4
ササン朝ペルシアからコンスタントノープルの陥落まで、1000年以上の内容が詰まっているので、どうしても記述に濃淡が出てくるのはやむをえないのだけれど、ムハンマド、十字軍、スレイマン大帝など主立ったエピソードは十分に押さえられているので非常に見通しがよかった。2019/02/12
xin
3
ササン朝時代からイスラムの勃興、グラナダ陥落までを中東を中心にその周辺地域までを捉えていてしかも人物主体でわかりやすい。一般向け通史とはこうあるべき。2016/03/11
竜王五代の人
2
中東~北アフリカのイスラム世界を、その直前のササン朝からグラナダの陥落までを人物のエピソード中心に描く(オスマン朝は別扱いで省かれている感あり)。かなり講談調。追い詰められながらも奮戦して、そこから逆転する人もあれば華々しい最期を遂げる人も。2022/03/19
moomin
2
このへんの歴史をさくっと概観できてよかった 中国もそうだけど、こういう地味の肥えた場所は文明の中心になっては蛮族が侵入して、そいつらが文明化されると次の蛮族が... をひたすら繰り返すキリングフィールドと化している。 いくつもの民族が文明に取りこまれ、軍事的に弱体化し、そのアイデンティティは希釈化されていく… だからこそ彼らの残したものが有機的に重なり合って総体としての文明を形成していく様子を注意深く見なければいけず、そこがこの辺りの地域の歴史を自分が難しく感じる理由かなと思った。2019/08/30