内容説明
日本初の全文訳・訳註付『赤毛のアン』シリーズ完結の第8巻!
アン48歳、第一次大戦が始まり息子3人が兵隊として欧州の戦場へ。
出征を見送り、激戦が報じられる不安な日々、赤十字の活動をして、家族の無事を祈る。
そして悲劇、感涙の復員。アンの娘リラの視点で描く戦争と銃後の暮らし、リラの成長と甘い恋。
日本初の全文訳・訳註付アン・シリーズ完結の第8巻。
地図、写真、年表入り。
●特徴1──日本初の全文訳
●特徴2──巻末訳註で、作中の約590項目を解説
●特徴3──口絵写真10点と地図2点
●特徴4──あとがき……小説をより深く味わうために
●特徴5──付録の年表
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
信兵衛
22
本作は、第一次世界大戦当時の、銃後の女性たちの暮らしを敢えて描き、同時に若い娘リラの成長と恋を描いた物語、と言って良いのでしょう。 ふと、レマルク「西部戦線異状なし」を懐かしく思い出しました。2024/01/27
本の蟲
15
『赤毛のアン』から始めるシリーズ完結巻。アンの娘、14歳のリラ視点で描かれた、1次大戦で一変する日常、兄弟の出兵、戦時下での銃後の暮らし。良く言えば純粋、悪く言えば一面的な「邪悪なドイツの野望を阻止すべく、正義と平和のために戦う」という論調には胸焼けしたが、時代背景と立場の問題だろう。当初『赤毛のアン』がカナダの話とも知らずにシリーズを読み始めたが、カナダの歴史・文化の薀蓄は面白く、聖書や欧米古典文学の引用(1ページにつき5、6か所にも上る脚注)は非常に読み応えがあった2024/01/13
ちぃ
4
天文学者の行はおそらく1898年出版のH·G·ウェルズ「宇宙戦争」を踏まえた引用だと思われる。2024/01/20
こんこん
2
アンの娘リラの第一次世界大戦を通しての成長を描いたこの巻。読み応えがありやはり面白い。リラの育てる戦争孤児ジムスがとても可愛い。抄訳ではあっても従来の村岡訳も大好きだが、ウォルターの手紙の重要な部分が省略されていたのに今回気づいた。そして牧師館の幼い末息子ブルースが、アンの長男ジェムを愛してるがゆえに愛猫を神に捧げたのも今回初見だったような。これは少しびっくりした。2024/01/07
K.Yamaguchi
1
まずは全巻完結したことを寿ぎたい。松本先生、ありがとうございました。そして、お疲れ様でした。集英社文庫が「赤毛」「青春」「愛情」で頓挫してどうなることやらと思っていたが、今こうして最終作を読めた喜びを噛み締めている。本作は第一次世界大戦の銃後を守る人々とリラの成長を描く良作でした。2024/04/25