文春文庫<br> アンの夢の家

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文春文庫
アンの夢の家

  • ISBN:9784167916008

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内容説明

日本初の全文訳・訳註付『赤毛のアン』シリーズ第5巻

アン25歳、グリーン・ゲイブルズの果樹園で、ギルバートと結婚。
フォー・ウィンズ(Four Winds)の海辺で、夢の家に暮らす。
運命に翻弄される美女レスリー、昔の恋人を想い続けるジム船長、男嫌いのミス・コーネリアと心を通わせ、迷える人々を照らす灯台となる。そして母になるアンの喜びと哀しみ、永遠の別れ……。人を愛する心の尊さを描く大人の傑作小説。

・特徴1)日本初の全文訳
英国詩人ブルックの詩「旅人の歌」に始まる初の全文訳。
従来訳で省略、改変された文章を、モンゴメリの原書通りに翻訳。

・特徴2)訳註
小説に描かれる397項目について訳者が解説する注釈付。作中に引用される英米文学と聖書、登場人物の民族、宗教、地理、歴史、政治、衣服、手芸、料理、園芸、諺、当時の風習、方言。

・特徴3)写真と地図
小説の舞台フォー・ウィンズの内海、ジム船長の灯台のモデル、モンゴメリが本作を書いた部屋など、訳者がカナダで撮影した作品ゆかりの写真12点を収載。
フォー・ウィンズ周辺とカナダ東部の地図2点も掲載。

・特徴4)あとがき……小説をより深く、楽しく読むために
一、モンゴメリの初期から中期の作品
二、小説の舞台フォー・ウィンズFour Winds
三、海辺の物語
四、登場人物は大人……ジム船長、ミス・コーネリア、レスリー・ムーア、スーザン
五、構成、シェイクスピア劇の影響、五つの物語の同時進行、詩的な散文
六、モンゴメリの怪奇趣味
七、本作のキリスト教~長老派とメソジスト、天地創造と進化論、信仰復興運動
八、スコットランド系・アイルランド系・ウェールズ系のケルト、野蛮なゲルマン人
九、カナダ二大政党(保守党と自由党)の対立、総選挙で十八年ぶりに自由党が勝利
十、執筆時のモンゴメリの日記、四十代の牧師夫人、出産と死産、第一次大戦の後方支援
十一、夢の家は「災いある世界」を照らし、人々を導く灯台

・アンとギルバートの結婚式
「陽のあたる古い果樹園で、アンとギルバートは、昔なじみの友の愛のこもった優しい顔にかこまれて結婚した。アラン牧師が式をとりおこなった。ジョー牧師は、のちにリンド夫人が力説した言葉によると、今まで聴いたなかで「もっとも美しい婚礼の祈り」を捧げた。九月に鳥はあまり鳴かないものだが、ギルバートとアンが永遠の誓いをくりかえす間、一羽の小鳥がどこかの見えない枝から美しく歌った。アンはそれを聞いて、胸がときめいた。」
『アンの夢の家』第4章「グリーン・ゲイブルズ初の花嫁」

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さつき

81
アンとギルバートの新居は人里離れた内海のほとりに決まりました。慣れ親しんだアヴォンリーとも学生生活を楽しんだキングスポートとも違う海辺の村での暮らしは、はっとするような美しい風景に溢れています。温かな海の男、老灯台守のジム船長。独特なファッションセンスのミス・コーネリア。謎の美女レスリー。個性的な住人達のエピソードに目を奪われます。子供の頃は読み過ごしてしまったアンの揺れ動く思いにも、大人になった今はじっくり向き合えました。2020/12/29

まあか

49
その土地に根差し、一人一人の人に深く深く関係を築いていくアンの愛情がとても素敵だ。レスリーの戸惑いや葛藤する気持ちにも、とても共感が持てた。自然とアンの世界に浸って、喜びも悲しみも自分のことのように感じられる。アンと一緒に自分も成長できたような気持ちになる。アンシリーズに出会えたことは、人生の宝だ。繰り返し、読んでいきたいと思う。2022/12/27

あたびー

44
ギルバートとアンの新婚生活は海辺の村フォー・ウインズの片隅、小さな愛らしい家で始まる。隣人は灯台を守るジム船長と、悲劇の麗人レスリー。それに常に女性の味方ミス・コーネリア。シリーズを読み進むうちにモンゴメリのサブキャラ創造力は本当に素晴らしいと感嘆する。アンに訪れる悲しみと悦び、レスリーの悲劇の顛末、ジム船長の人柄、そうしたものが織り成す美しい物語。2024/03/07

まゆみ

31
アンがギルバートとの新婚生活を送る25歳から2年間の物語。40代のモンゴメリ自身が最高傑作と自負している作品。確かに今までとは違って登場人物たちの物語が同時に進行し、すべて回収しながら結末を迎えるというフルコースを堪能した満腹感がありました。特に後半にかけては、思わず声が出てきてしまうほどの展開になり、ドキドキしましたね。運命に抗えない悲劇的な出来事もありながら、クスって笑える喜劇要素もあり、楽しませてもらいました。2022/04/28

chie-don

27
アン25歳─ギルバートと結婚し海辺の“夢の家”で暮らす2年間。アンの手にする喜びと希望、そして深い悲しみ… 新しい登場人物、灯台守のジム船長、隣家に暮らす悲劇の美女レスリー、男嫌いのミス・コーネリア、それぞれの人生も語られる。アンを崇拝する料理上手な家政婦スーザンは心強い助っ人♡ 何度も読んだのに、読み飛ばすことなく、飽きることなく読めるのは物語の力と、新しい訳者による新訳・全文訳によるものなのか(*´∀`)楽しい心豊かな一時である。『炉辺荘のアン』の発刊を待ちたい。2021/04/07

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