内容説明
その日、高槻が扱ったのは、電話にまつわる都市伝説。
中でも有名な「メリーさんの電話」についての講義が終わったあと、
尚哉は友人の難波から、話があると誘われる。
そして現れたのは、難波の彼女・愛美。
彼女は「なくした人形が、だんだん近づいてくるみたいなの」と言って……。(――「やがてソレはやってくる」)
建築設計事務所を営む遠山宏孝は、尚哉と同じ、嘘を聞き分ける力を持つ。
その力を手に入れてしまった幼い頃から、彼はひとりになった。そんなある日……。
懸命に生きようとする二匹の猫たちと、ひとりぼっちの遠山との出会いが招く、素敵な奇蹟。(――「遠山と猫の話」)
高槻を「特別な友達」だと思っている小学生の智樹。
6年生になり、中学受験で周りがピリピリし始めた頃、彼は不思議な話を聞く。
ある廃工場で工場長が失踪し、なんと異次元に行ってしまったらしい。
「その工場は、今でも異次元とつながったままなんだって」
早速高槻に連絡する智樹だが……。(――「大河原智樹の冒険」)
他、尚哉の秘められた力に気づいてしまった難波の葛藤や、
佐々倉と高槻の喧嘩など、全5編を収録!
シリーズファンにも、ここから読む方にもお薦めしたい、
キャラクターたちが愛しくてたまらなくなる、珠玉の番外編集!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
131
きゅうん♡の一冊。きゅん♡じゃなく、きゅうん♡がいっぱい。それぐらいスポットを当てられた誰もの胸の内と姿に優しさ、せつなさできゅうん♡とせずにはいられない番外編ならではの味わいだった。難波くんの葛藤からの尚哉のそばに居てくれる嘘偽りのないゆるぎない友情には感謝の涙。尚哉と同じ苦しみを抱える遠山さんのつらい過去に涙し、クールな印象の彼の猫との出会いと優しい姿が微笑ましかった。アキラ先生たちを守るために…の健ちゃんの今後にも目が離せない。あの時のあの裏側で…読後は登場人物誰もの株が爆上がりすること間違いなし。2023/09/27
mariya926
125
なんだかんだ全部読んでる作家さん。今回は番外編だけど、いつも出てくるキャラが主人公となって話しを進めてくれるので、本編との重なりもあって楽しめました。特に遠山さんが猫を飼うのが一番良かったかな?今回全部読めて良かったし楽しめました。メリーさんの電話は怖いけど···2023/11/28
ひさか
119
2023年9月角川文庫刊。書き下ろし。番外編シリーズ2作目。通算11作目。やがてソレはやってくる、遠山と猫の話、大河原智樹の冒険、俺の友達の地味メガネくん2、それはまるで祈りのように、の5つの連作短編。異能の遠山、友人の難波、刑事の佐々倉、異捜の二人とアンデッドの紗絵の話が興味深い。お話世界が強固に形造られて行くのが面白い。本編での大きな動きを期待したい。2023/10/17
ミキ
98
2023-48:難波くん視点の物語があって良かった。深町くんの秘密を分け合える人たちがこれから増えていけばいいなと思った。健司との関係性もいい。2023/09/27
ぽんすけ
90
短編集。推しの遠山さんと猫の話めっちゃ良かった。遠山さんて孤独が深いキャラだから私生活も寂しそうで心配してたんだけど、白子と黒子がいてくれて良かった。犬猫最強伝説。しかし彼に結婚寸前までいった女性がいたとは驚き。どんなに愛してても嘘に気づいた時自分の心が冷める所を見たくなかったんだろうな。あと尚哉のカミングアウトの難波編がよかった。難波って最強の陽キャだと思ってたけど、それ以上に本当に優しい人なんだなと再確認。難波の真心が、外から見ると若干はみ出ているような人にも届き信頼してくれるんだろうと思う。2024/04/30