内容説明
長い休みは憂鬱だ。一人でいることには慣れているけど、一人でいることが好きなわけじゃない。高校最後の夏休みは、みんな忙しい。仙台さんとだって、会うのは”放課後”だけというルールだ。なのに彼女は『家庭教師になってあげる』なんて提案してきて。……キスしたこと、気にしてるのは私だけなの?
つまらない。面白くない。キスしても何も変わらない宮城に、もうすぐ来る長い休みに、そう思う。だから、宮城に提案した。『休み中も宮城に会いたい』そう思っているのかは自分でもわからないし、距離を置くべきなのはわかっている。……でも、本当は彼女から返事が来ることを、私はたぶん期待している。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
35
高校最後の夏休みを前に揺れ動く淡くもつれた関係。キスしても何も変わらない宮城に、仙台から宮城に夏休みの家庭教師役を持ちかける第二弾。定期的に会うのが当たり前になって、一人だと物足りない気持ちになることをお互いに自覚していって、距離感を掴みかねてどうすればいいのかだんだん分からなくなってゆく二人。こういうお互い何考えているのかよく分からない状況は、どちらにとっても(読者的にも)なかなかのストレスだと思うんですけど、そのもやもやは落とし所を見つけることができるのか…期限が区切られた分今後の動きが気になります。2023/06/21
きくりん
22
だんだんと主従関係というよりは、友達に近い関係になりつつあるものの、行為としては刺激的なものが増えていき、一線を完全に超えるのは時間の問題かなという事で、次巻はどんな展開になるのか、楽しみです。2023/11/19
真白優樹
19
2人の関係が五千円と言うお金で結ばれて一年、最後の夏休みが来る中、葉月が志緒里の家庭教師をする事になる今巻。―――育ち、深まる思いは友だちの色をせず。未だその色は見えぬまま。 面倒くさくてもどかしすぎる、友達から始めようにもそもそも息が全く合わぬ。友達同士からも始められぬ二人が夏休みという時間の中で不器用に向き合う巻であり、少しずつ育ち始める思いが、何処か別の方向へと進みだしていくかもしれぬ巻である。果たしてこの先、定められた期間の中で。二人の関係は何処へと歩くのか。 次巻も勿論楽しみである。2023/07/15
タイコンデロガ級
18
夏休みに仙台さんが宮城の家庭教師をやり始めて一年前の夏より会う頻度が激増した二人が、まぁ語弊を恐れずに申し上げれば不健全に仲を深めていった2巻でした! わかるぞ宮城…仙台さんとは「友達」とは違うよな…うん。 仙台さんが宮城に対して「そういう欲求」があるのを自覚するの、こういうのわたし好きです。3巻もとても楽しみにしています。 2023/07/31
冬野
16
シリーズ第二弾。夏休みに仙台さんが宮城の家庭教師を引き受けたことで二人の時間が増えていく。二人とも引き続き面倒でもどかしくて良い。本来言語化不可能な微細な感情の揺れ動きが言語化されているのがすごい。近づいたと思えば離れ、距離ができたと思ったら以前より近づいている不思議さ。友達にはなれない二人が、いつの間にか○○をし合う関係になっていて、読んでいてやや照れてしまった。ラベルがついた思い出を作りたくない、いつか無くなるから、と過去の出来事のせいで刹那的に生きる宮城の思考の一端が見えて切なかった。星:4.5/52023/07/23