内容説明
「帝国政府は爾後(じご)国民政府を対手とせず」。日本は中国との交渉の道を自ら鎖した。徐州、武漢での作戦を成功させたものの、「事変」は泥沼化の一途を辿る――。敷島太郎は愛人の身体に溺れ、次郎は柳絮(りゅうじょ)のごとく彷徨い続ける。三郎は復讐に身を焦がし、四郎は陰謀の犠牲者を茫然と見つめた。そして、満蒙国境ノモンハンで日ソ両軍が激突する。大陸に凱歌と悲鳴が轟く。混沌の第六巻。(解説・北上次郎)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじさん
73
太郎は、密約説が囁かれる独ソ不可侵条約の対応等に追われながらも、愛人の身体の溺れ、次郎はインド独立を関わる商人の阿片売買を手伝う、三郎は抗日戦線の対応に追われる日々、ノモンハン事件の日本軍の惨状を目の当たりにし、抗日戦線の英雄・楊靖宇の死に出会う。四郎は、間垣中佐の歪んだ関係を断ち切るべく彼の紹介で、満映に就職し、昔の知り合いの女と出会う。四兄弟が、過酷な満州での人生に歩む。ノモンハン事件は、統師の乱れ、将官の無責任さ、根拠のない精神主義が生み出した陸軍の恥ずべき事件だ。読んでいても無性に腹が立った。 2026/03/16
カムイ
52
満洲国演義も六巻、第二次世界大戦までのカウントダウン後戻り出来ない状態になってしまう。架空の主人公達、敷島4兄弟は満洲国、欧州を定点カメラのような視点で戦争の悲惨さを伝えている、そして流れに身を任せてしまうどうしようもないクズになり果てしまう、日本が戦争と突き進むのと4兄弟はその当時の日本国民とリンクしているのではないか、軍、メディアにより国民はファシズムへと傾倒していくのは、ナチスの国民統制と同じである。ドイツ、ソ連不可侵条約の密約にはノモンハン事件を引き起こす原因があったことは関東軍の無策は酷すぎ→2021/05/19
マムみかん(*ほぼ一言感想*)
34
第6巻。 敷島4兄弟の周りに、身近な死者が増えていきます。 それは、もう、容赦なく、呆気なく(泣)。 時代はノモンハン事件、ナチス・ドイツのポーランド侵攻、第二次世界大戦前夜へ…。 志よりも自分たちの権益やプライドを優先させる高級官僚や軍の上層部が、事態をどんどん取り返しのつかない方向へ進めているのがよく分かりました。 無聊に耐えかね、ダークサイドへ行ってしまった次郎兄さんが心配~~☆2016/03/30
ヨーイチ
33
ヤバイ、文庫版の発刊に追い付いてしまったかも。これ以降どうしましょ。この回は汪兆銘の南京政府を何とかでっち上げたものの、欧州での独ソ不可侵条約に慌てふためいていた頃。あと有名なノモンハン事件が起きている。ソビエトの戦車群に対して火炎瓶で対抗した兵隊が哀れ。レポートは憲兵の三郎君。四郎はとうとう慰安所の性病検査助手という哀れな境遇を次郎に助け出され、晴れて満映に就職。早速昔の女が現れて同棲が始まり、甘粕所長の元で映画制作に携わる。良かった、良かった。続く2016/03/12
kinnov
19
シリーズ全体の主役、歴史が大きくうねり、敷島四兄弟がそれぞれ変節していく巻。圧倒的な流れに対して、己の無力感に若い女との性愛に溺れ、無聊を気取るも利権者に都合よく使われるだけに成り下がり、花形憲兵隊尉官でありながら軍の限界を感じ完遂できなかった復讐に虚無感を覚え足元が揺らぎ始め、ただただ無気力に現状を受け入れるだけ、末っ子の四郎以外は物語の始まりから随分遠くに来てしまった。彼らと共に物語を歩んでいて、段々とつらくなって行く。欧州では大戦に突入し、アメリカが参戦してくるこの先、どんな虚無が待っているのか。2017/01/25




