内容説明
昭和六年九月十八日、満州事変勃発。満蒙領有方針に共鳴する敷島三郎憲兵中尉と、外交官としての本分を守ろうとする敷島太郎参事官が対立する。阿片中毒を癒しつつ四郎は中国人街に身を沈めており、次郎は特務機関に協力することとなった。朝鮮人の一斉蜂起。帝都で燻(くすぶ)るクーデター計画。そして、上海では海軍陸戦隊と十九路軍が激突する。大陸各地で弾ける戦火を描く、第二巻。(解説・志水辰夫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
再び読書
57
満州事変、上海事変へと歴史は動く。敷島4兄弟 も時代に翻弄されて、それぞれ違う立場で歴史に飲み込まれていく。それぞれ二人づつ出会いが訪れる。また、関東軍のテロを含有した脅しに天皇も屈せざるをえない異常な状態になり、明治を彩った長州閥の力が衰え、負のスパイラルは進行していく。個人的には二郎の沈滞が苛立ちを感じさせる。まだまだ2/9、これからどう動くのか?じっくり読んでいきたい。2018/09/21
カムイ
37
歴史を歪めず、小説をダイナミックに描くのは非常に難しい敷島兄弟を満州事変に関わられられる立場に関東軍の謀略により満州国発足、当初の日本がか掲げていた民族開放、欧州列強の驚異に立ち向かう理念は……歴史の渦に飲み込まれる4兄弟、ある人物に操り人形のように中国での展開が彼らの行き先が暗澹なる結果になってほしくない、それでもカムイは戦争に前のめりになる日本を見つめながら船戸の戦争小説を進め読む。2020/01/19
マムみかん(*ほぼ一言感想*)
36
劇団四季のミュージカル『李香蘭』を観て、おおざっぱな全体像を掴んだところで第二巻。 満州事変の勃発、外務省と軍部の対立、満州独立へ向けて謀略に次ぐ謀略…。 四郎のセリフにもありましたが、「間垣徳蔵が動くと敷島家のだれかがおかしなことに巻き込まれる」という巻でしたね~。 軍人である三郎はともかく、他の三兄弟が不本意ながら謀略に荷担させられる様が辛いです。 次巻は、ついに満州国建国☆2015/09/29
ヨーイチ
31
相変わらず主人公達は酒飲んで旨いもの食ってタバコ吸いまくり。もう慣れたけど。満州事変を経て、溥儀を脱出させていよいよ満州国が生まれる。上海事変が満州から列強の目を逸らす為の陽動作戦だったとはっきり言い切っている。小説だよなあ。ここまでの所「国家の明確な意思と実行」が個人である主人公を翻弄しているのであるが、当然だが歴史はそんな物ではない筈だ。わかり易いけど。毛沢東が辺境で「中華ソビエト」を立ち上げる。「ソビエト」ってそういった言葉だったのね。続く2016/02/10
ちゃま坊
21
日本軍による満州ぶん盗り作戦。蝕まれる満州の悲惨な歴史。列強国はみんな植民地が欲しかったんだな。史上最悪の世界大戦に向かって坂を転がり落ちていく。昭和6年の満州事変。さらに上海事変。日本軍滅亡まであと14年。2017/12/23