内容説明
古来,日本人の感性はどれほどの細やかさと豊かさを備え,自由奔放に羽ばたいてきたか――.日本詩歌の沃野へと読者をいざなう好評シリーズの三冊目は,一九八三年三月まで一年間の「朝日新聞」連載に加筆する.時代と空間をかろやかに超えて響き合う言葉と言葉.様式の垣根をとりはらって織りなされる華麗な絵巻物.
目次
春のうた┴夏のうた┴秋のうた┴冬のうた┴あとがき┴作者略歴(兼キーワード)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
11
この本は82年3月から83年3月までに新聞に掲載されたものを、春夏秋冬にまとめておられます。この本のいいところは、最後に作者の略歴を掲載されていることで非常に参考になります。2014/08/02
misui
3
「梅の奥に誰やら住んで幽かな灯」(夏目漱石)、「森閑と物音もなし鳥のこゑ聴けばわが世に鳥のこゑ満つ」(尾山篤二郎)、「かくまでも黒くかなしき色やあるわが思ふひとの春のまなざし」(北原白秋)、「くもの糸一すぢよぎる百合の前」(高野素十)、「触覚の如く怖れにみちてゐる今日の心と書きしるすのみ」(河野愛子)、「死ぬまでも死にてののちもわれといふものの残せるひとすぢの路」(九条武子)、「法然房 親鸞 道元も苦しみし世にして君に歌ありしこと」(太田青丘)2017/05/07
アリョーシャ
3
わが肩に春の世界のもの一つくづれ来しやと御手を思ひし 与謝野晶子(「夢の華」) かくまでも黒くかなしき色やあるわが思ふひとの春のまなざし 北原白秋(「桐の花」) 羨ましやわが心 夜昼君に離れぬ 閑吟集2016/11/25
邑尾端子
3
あらゆる時代の様々な詩歌を紹介するこのシリーズの3冊目。元々が一記事完結の新聞のコラムだからか、頻出の歌人であっても何度でもその人物や背景を紹介してくれる親切設計。これ誰だっけ?と逐一調べ直す手間がないのでありがたい。それにしても、明治~大正期の作品に陰鬱としたものが多いこと。何か病んだような鬱々とした作品が多いのは近代の特徴かも2015/11/20
びーちゃん
1
詩と解説。評価42011/03/01