内容説明
好評の前著に続く一年間の新聞連載に加筆して贈る.この二書において,俳句や短歌にとどまらず,狂歌や漢詩,さらに琉球の古歌謡に至るまで,広大な日本詩歌の世界に光があてられ,新しい〈常識〉が作り出された.簡潔な表現にこめられた哀切な想い,大らかな叙情を,詩人のこまやかな感性が的確に読みとり,奥深いことばの森に読者を誘う.
目次
春のうた┴夏のうた┴秋のうた┴冬のうた┴あとがき┴作者略歴(兼キーワード)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
テイネハイランド
15
図書館本。和歌、俳諧、俳句だけではなく、現代詩、漢詩、童謡、翻訳詩、琉球民謡、川柳、etcまで取り上げられており、とても視野が広いアンソロジー。大岡信さんによるコラムも、簡潔ながら詩歌の急所をうまく捉えているのが多く、解説それ自体が、ひとつの芸術作品のように感じます。また、(1)解説を読まなくても直感的に好きになる作品もあれば、(2)解説を読んではじめて伝わる作品もあって、詩の受容にも様々な様相があるのだということを強く感じます。2018/08/27
KAZOO
9
やっと2冊目を読みなおしました。尾籠な話で恐縮ですがトイレにある何冊かの一冊です。短くてちょうど一つの歌を鑑賞するにはいいと思っています。それにしてもさまざまな時代の歌が鑑賞できます。2014/05/19
邑尾端子
4
時代によって、人によって、季節に対する感覚や印象、精神性とその表現の仕方も異なるわけだけど、このシリーズではそれが作品を通じて如実にわかるので面白い。2014/12/25
misui
3
「君は行く暗く明るき大空のだんだらの 薄明りこもれる二月」(村山槐多)、「青葉樹の寂しき秀より秀に飛びし蝉はそのまま鳴かずこもりぬ」(初井しづ枝)、「ねこの子のくびのすゞがねかすかにもおとのみしたる夏草のうち」(大隈言道)、「嘆くとも恋ふとも知らでいかならむ方にのどけく君は住むらむ」(土岐筑波子)、「獏のすむ野辺ともしらず旅寝してうまき都の夢をくはれき」(鹿都部真顔)、「かろうじてわがものとなりし古き書の表紙つくろふ秋の夜の冷え」(佐佐木信綱)2017/05/01
アリョーシャ
2
朝日新聞に連載された「折々のうた」の2冊目。1冊目と比べて、うたの意味の解説がやや減ったような気もする。好きな歌から紹介していくのだろうから、2年目になったらネタ切れを起こすのでは、との心配は杞憂だった。とりわけ「春のうた」の章に気に入ったうたが多かった。2016/11/11