内容説明
仙台堀に、同心の恰好をした土左衛門が浮かんだ。深川鞘番所に詰める北町奉行所の面々は、その顔に見覚えがない。南町に問い合わせるもはかばかしい返事がなかった。だが、深川鞘番所支配の大滝錬蔵は、死体は失踪していた南町の臨時廻り同心だと突き止める。なぜ南町は即座に認めなかったか?背後に己の想い人お紋を巻き込む謀があることを知った錬蔵は…。
感想・レビュー
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やま
93
深川鞘番所シリーズの11作目「新・深川鞘番所」シリーズ(第二期)の1作目。 2017.12発行。字の大きさは…小。 左遷になった北町奉行所の与力・大滝錬蔵が、深川鞘番所支配として悪を退治する痛快時代劇。 此度は、南町奉行所の年番方与力・棚橋貞右衛門を調べていた同じ奉行所の臨時廻り同心・潮田格太郎が仙台堀に一刀のもとに斬られて浮かんでいた。凄腕の刺客を探るべく鞘番所北町組の面々が…。 錬蔵が、深川芸者・お紋を「おれが妻と決めた女。誰にも渡さむ」と啖呵を切るのは胸がスカッとする。2020/04/26
ソババッケ
9
継続シリーズ。最年少の小幡欣作、年嵩の松倉孫兵衛、八木周助、一刀流皆伝の溝口半四郎の4人の同心、それと元同心で今は手先の前原伝吉、元男芸者の安次郎は健在。深川の全ての茶屋を乗っ取ろうとする大坂の両替屋・河内屋とそれに立ち向かう大滝錬蔵と河水楼の籐右衛門。今回、初めて鞘番所詰めの南町組が登場し、北町組の錬蔵一家との位置づけが明確になった。錬蔵が前原と2人の子供たち、母親代わりのお俊への気遣いを見せている。前原とお俊の仲は微妙、長屋に住み着いた経緯も??だったが。錬蔵とお紋のべたべた感はちょっと・・。★3.32018/01/30
のんぶぅ
3
深川鞘番所に詰める北町組・南町組、大滝錬蔵の口癖「人手が足りぬ」果たして、南町支配の面々とはどのように連関していくのか、深川でしか生きていけぬ(俺の性分に合っている)と呟く片山と、奉行所から厄介者扱いされ、追い払われ、深川でしか己の力を使いきれぬ弱い男なのだ、俺を頼りにしてくれる深川の住人たちの力になることが出来るよう強くなりたい話す錬蔵、目に見えない火花が散ったようで、今後の展開に期待です。 2017/12/15