内容説明
富岡八幡で流鏑馬が行われた日。元掏摸のお俊は五年ぶりに昔の仲間与吉に再会した。与吉とはわりない仲だったのだが、消息が途絶えていたのだ。お俊は困窮する与吉のため、鞘番所で働けるように動き回る。一方、鞘番所支配の大滝錬蔵は、深川で頻発する兇悪な押し込みに手を焼いていた。そして、配下までもが次々襲われる事態に。鞘番所に最大の危機が迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kira
6
図書館本。シリーズ第九弾。元女スリのお俊が昔の仲間でわりない仲だった与吉に再会する。仕事につけないという与吉のために、鞘番所で働けるようにお俊は口利きする。その頃深川では、押し込み先の者を皆殺しにする凶悪な強盗が頻発しており、鞘番所では手を焼いていた。手がかりのつかめない探索と昼夜の見張りで、錬蔵たちの 疲労は濃くなっていく。どんなに疲れていても、錬蔵は毎朝の日課にしている木刀による鍛錬を怠らない。その錬蔵の秘剣「霞十文字」は、何度見ても格好いい。 2020/01/31
だいしょう@SR推進委員会
3
ちょっとハラハラドキドキしたかも。深川大番所で暮らす女が出逢った昔の掏摸仲間。信じきれぬままずるずると大番所に仕事の口を世話してしまう。直後、次々と商家を襲う残忍な強盗の集団。殺人を楽しむかのようなそのやり方は、大番所の面々の不安と焦燥を煽ってゆく。それでも小さな手掛かりを元に犯人たちへと迫っていく同心たち。その過程に、ピンと途切れぬ緊迫感が貫いていった。それだけに急ぎすぎる結末が惜しい。正体がわれるまでもうひとひねり欲しかった。ただ、姿を見せぬ黒幕との闘いに、続巻への期待アップです。2012/04/25
ソババッケ
1
シリーズ9作目。それにしてもお紋姐さんの出番が少ない。今回はお峻が係る話がメインだったからかも。深川を手に入れようとする雨坊主の宇兵衛の盗賊集団。深川の大店を狙って皆殺しの押し込み。最後は邪魔な鞘番所を標的に・・・。ずっと疑問に思ってきたが、深川鞘番所が独立して機能した時代があったのだろうか。指揮命令系統を含め、町奉行との関係もあいまいなままである。大滝錬蔵は北の出身ではあるが、南との関係はどうなのだろう。鞘番所は大川の橋の管理を主とする説もあるのだが、どうだろう。★3.02012/09/21