ちくま新書<br> 世界哲学史 別巻

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ちくま新書
世界哲学史 別巻

  • ISBN:9784480073648

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内容説明

『世界哲学史』全八巻では、古代から現代までの哲学史を総勢102名の知を結集して叙述してきた。それを踏まえてこの別巻では、まず編集委員が全8巻で明らかになった論点を検証し、論じ尽くされていない課題を明らかにする。さらに追究すべき非西洋の哲学や、宗教思想と哲学の間の問題、西洋哲学自体で見過ごされてきた論点などの残された課題を、編集委員と13人の専門研究者で考察していく。哲学の未来に向けての課題を幅広く論じる、『世界哲学史』のシリーズ総決算。

目次

はじめに 中島隆博
Ⅰ 世界哲学の過去・現在・未来
第1章 これからの哲学に向けて──『世界哲学史』全八巻を振り返る 山内志朗×中島隆博×納富信留
1 『世界哲学史1──古代Ⅰ 知恵から愛知へ』
「世界と魂」
起源としてのギリシア
生きる原理としての魂
霊・魂・魄
世界という概念
概念化で世界を変える
2 『世界哲学史2──古代Ⅱ 世界哲学の成立と展開』
ローマ時代の評価をめぐって
宗教の制度化
テクストの確定とカノンの成立
正統性と哲学の連続性
ビザンツと東方世界
3 『世界哲学史3──中世Ⅰ 超越と普遍に向けて』
世界哲学に敵対する「ルネサンス」
周辺部からの先鋭的思想
超越に対する見通しの変化
4 『世界哲学史4──中世Ⅱ 個人の覚醒』
超越性の内在化
テイストと受肉
近傍と個人の覚醒
5 『世界哲学史5──中世Ⅲ バロックの哲学』
一五世紀と一六世紀の断絶
イエズス会の起爆力
利子の問題
アソシエーションとバロック
大学と哲学
6 『世界哲学史6──近代Ⅰ 啓蒙と人間感情論』
自然科学の展開と感情論の深化
西洋の情念論の系譜
なぜ情念論は注目されたか
理性の不安
啓蒙と世俗化
一八世紀的哲学史を超えて
7 『世界哲学史7──近代Ⅱ 自由と歴史的発展』
アメリカのトランセンデンタリズム
古代の発見と原理主義
フィロロギーの時代
プロトタイプ重視のイデオロギー
進化論の衝撃
功利主義をどう評価するか
8 『世界哲学史8──現代 グローバル時代の知』
二〇世紀をどう捉えるか
全体主義や科学技術を後追いした哲学
巨大なものをどう捉えるか
魂への配慮をもう一度
日本哲学の可能性
言語をどう超えていくか
運動を継続しなければならない
第2章 辺境から見た世界哲学 山内志朗
1 辺境から見た世界哲学
辺境の新しさ
旅人としての精神
2 辺境とは何か
中心と辺境
理性を拒むものとしての無限性
3 源泉としての辺境
辺境を求める心
世界システム論における辺境
精神における辺境を求める人々
4 哲学における辺境
精神の辺境
遍在性ということ
内部と外部との形而上学
中心としての辺境
5 非中心への希求としての世界哲学
課題としての非中心
第3章 世界哲学としての日本哲学 中島隆博
1 空海へのリフ
空海はすべてを知りたかった
複合語と即の論理
2 フィロロジー
ロゴスと道
古さという問題
3 世界崩壊と自我の縮小
道元と古仏
直下承当
4 古さはいくつあるのか
一と複数
荻生徂徠と先王の道
本居宣長の「うつす」
5 反復せよ、しかし反復してはならない
近代と反復
和辻哲郎と壊れた仏像
6 世界戦争と生
梁啓超のヨーロッパ巡礼
西田幾多郎と生
宗教的世界観
7 戦後の日本哲学の方位
鈴木大拙と霊性
井筒俊彦と「神に先立つもの」
イマージュ
空海へのリフ再び
第4章 世界哲学のスタイルと実践 納富信留
1 哲学のスタイル
哲学の自明性
大学と学会での哲学
古代ギリシア哲学者の生き様
言論スタイルの競合
2 テクストと翻訳
書かれた哲学を読み解く
書簡を読み解く技法
哲学言語の翻訳
3 世界哲学の実践
生きた哲学の実践
哲学の民主化
学問としての世界哲学
Ⅱ 世界哲学史のさらなる論点
第1章 デカルト『情念論』の射程 津崎良典
心身分離から心身合一へ
心身関係という「問い」
「パトス」という基礎概念
『情念論』の執筆背景とその意図
自然学者デカルトの眼差し
諸情念の分類──「驚き」に注目して
第2章 中国哲学情報のヨーロッパへの流入 井川義次
イエズス会士を仲介とする東方哲学情報のヨーロッパへの流入
宣教師情報の整理と受容──ライプニッツ
シュピツェル編『中国学芸論』
クリスチャン・ヴォルフ
『中国実践哲学講演』
ノエル訳『中華帝国の六古典』
クプレ訳『中国の哲学者孔子』
結語
第3章 シモーヌ・ヴェイユと鈴木大拙 佐藤紀子
「考えるわたし」の相容れないふたつの側面
心なきところに働きが見える
大拙を読むヴェイユ
待機する──お差支なし、御注文なし
第4章 インドの論理学 志田泰盛
はじめに
思弁や対話の基盤としての推論
推論の基本形式
疑似推論の判定法と討論の審判規則
知識根拠というパラダイム
知識根拠の周縁の論理
おわりに
第5章 イスラームの言語哲学 野元 晋
文法学の始まり
言語の起源をめぐる思索
法学と言語
神学・言語・政治──「審問制」とその結末
ギリシアの学問から
アラビア文法学対論理学──一つの論争
ファーラービー
イブン・シーナー、ガザーリー、そしてその後
神秘の知と言語
第6章 道元の哲学 頼住光子
「世界哲学」という視座──なぜ道元なのか
自己と世界を問う──「自己をわするるといふは、万法に証せらるるなり」
心身の脱落と悟り
道元と西洋哲学──ハイデガーのエアアイグニスを手がかりとして
「性起」を「起」と言い換えた道元
第7章 ロシアの現代哲学 乗松亨平
「近代の超克」とその挫折
自由な集団性──ナショナリストの側から
言語と身体
自由な集団性──リベラルの側から
第8章 イタリアの現代哲学 岡田温司
「イタリアン・セオリー」、あるいはイタリアの特異性
「アガンベン効果」
共同体と免疫──エスポジトの射程
キリスト教をめぐる問い
芸術と美の思想
第9章 現代のユダヤ哲学 永井 晋
同化と回帰
律法と生命
全体性と無限
生命そのもの
第10章 ナチスの農業思想 藤原辰史
ダレーとバッケの農本主義思想
人種主義と農業思想
反資本主義と遺伝学
「血と土」の思想と有機農法
第11章 ポスト世俗化の哲学 伊達聖伸
「ポスト世俗化」状況のなかのチャールズ・テイラー
ケベックのナショナリズムとテイラーの多文化主義
間文化主義的なライシテとテイラーの位置
宗教の時代から世俗の時代へ、そして……
非西洋の世俗と宗教を考える
第12章 モンゴルの仏教とシャーマニズム 島村一平
ポスト世俗化とポスト社会主義
社会主義の中で生き残るシャーマニズム
化身ラマと呪術としての社会主義
第13章 正義論の哲学 神島裕子
はじめに
現代正義論の主流が抱える二種類の問題点
脱西洋中心主義へ向けた取り組み
マジョリティ中心主義という障壁
世界哲学における正義論の未来
あとがき 中島隆博
編・執筆者紹介
人名索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

34
私は第1巻から読んだが、時間のない方や効率を求める方は、本書でどこに自分の関心があるのか、チェックしてからその巻にアプローチした方がよい。山内先生は、世界という概念はラテン語ではしっくりくるのがないという。世間知というドイツ語もある(Weltweisheit)(029頁)。中島先生は、朱子学では最大の問題を他者論としている(065頁)。山内先生は、カンパニーの語源をラテン語のcompanion(aとoの上に横-)ともに(com)とパンを食べる(panis)(aの上に横-)(075頁)。2021/05/23

さえきかずひこ

10
時代や場所を問わず超越や普遍を探究するいとなみが人類にはあり、それを"世界哲学"として構想するシリーズの総括本。前半100ページほどは座談会形式で編集責任者がシリーズ全8巻の内容や構成について反省的吟味を加えていくもの。第1部4章は本シリーズのコンセプトを明示する宣言文。第2部は中国哲学の西欧への伝播を論じる2章、社会主義化を経て現場利益を重んじる呪術として生き残った現代のモンゴル仏教を紹介する12章が興味深かった。世界哲学史は全冊読んだが、意欲的であり充実した品質のため、ぜひ第2シリーズを出してほしい。2021/03/22

masabi

8
【概要】全8巻の振り返りの鼎談、振り返りを受けての論考、シリーズに収まらなかった論考を収録する。【感想】ヨーロッパの中国哲学からの影響、ロシアやイタリアでの現代哲学、ユダヤ思想、正義論など。世界哲学と世界を包括する枠組みのなかで日本哲学などの固有の哲学の意義。公平を謳う正義論に流れる白人中心主義、男性中心主義を批判する論考は刺激的だった。脱魔術化、世俗化に対するポスト世俗化を含め、近代性の再検討だったり、主流の西洋哲学を批判だったりと盛りだくさんで、参考文献にも手を出したくなった。2024/03/05

記憶喪失した男

8
おまけで刊行された世界哲学史の別巻。前半は全八巻の振り返り、後半は十三章の哲学紹介となっている。イタリアやロシアやモンゴルの哲学を紹介しようという意欲的なところを見せる。これで、世界哲学史を読了した。満足のいく世界哲学史だった。2021/03/12

スターライト

7
全13章仕立てだが、内容的には第1章と第2章以降とに分けられる感じ。前者では編者3人による全8巻の振り返り。「世界哲学」という視点から見た画期性や触れられなかった点やもう少し掘り下げたい論点などを、座談会形式で語る。それ以降は編者3人からの提起に加え、その他の研究者から世界各地域の哲学について紹介する。中でも個人的に興味深かったのは最後の2章。マルクスの予言した「宗教の自然死」は社会主義化しても起らず私的空間に隠棲され、ソ連崩壊後「復興」したこと。西洋哲学の白人至上主義、男性中心主義という指摘は痛烈。2021/01/04

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