ちくま新書<br> 世界哲学史8 ──現代 グローバル時代の知

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ちくま新書
世界哲学史8 ──現代 グローバル時代の知

  • ISBN:9784480072986

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内容説明

西洋の近代哲学の礎石だったはずの理性が戦争や分断をもたらした20世紀。そしていま、新たな全体主義化と分断の危機が世界に迫っている。危機を乗り越えるには、理性が他者として周辺化してきたものは何か、人間中心主義的な理解が抑圧してきた生とは何かを世界哲学によって問いなおし、人間を再定義しなければならない。西洋の現代哲学やポストモダン哲学、ジェンダー思想や批評、そしてイスラーム、中国、日本、アフリカなどの哲学を一望し、グローバル時代の知を追究する。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

28
最後の巻では全体主義化と世界の分断に向かわないようにするにはどうすればよいのか、というのが世界哲学への問いとのことである(015頁)。クワイン(1908-2000)は「分析性とは何か」で、分析性の意義の核心に「道義性」があると喝破。分析/総合の区分自体が、明瞭な区分でないという(034-5頁)。ベンヤミンのアウラの消滅(061頁~)。ハーバーマスもデリダと同様、中国で講演。自説、人権やグローバル化、デモクラシーなどホットイシューを語ったようだ(202頁)。2021/05/23

nbhd

14
フェミニズムの項目だけ読み直してみた。「ジェンダーって、わかるようで、結局よくわかんないよね」ってのがテーマだ。何となく掴みとれたのは「セックスは常にすでにジェンダーである」というバトラーの言葉。こう解説されている→「『その間に差異がある女たちとはそもそも誰なのか』という問いに対する包括的で決定的な答えを不可能にするものとしてジェンダーを考えることで、バトラーは女たちをさらに新しい差異へ、それどころかいまだ知られていない未来のかたちへと、開いておこうとするのだ」2021/04/13

さえきかずひこ

14
あらゆる時代と場所に日々の暮らしを超えた普遍や超越を求める"世界哲学"的思索があるとし続刊してきたシリーズの最終巻。どの著者も巧みな整理とそこここにエッジの効いた文を潜り込ませてくるが、第6章の中田孝「現代イスラーム哲学」がきわめて硬質であり、かつ深い最も読みごたえのある内容。イスラーム哲学が西洋列強による植民地化のあと変質したことを指摘し翻訳の不可能性について論じたあと、あくまでも日本文化としての現代イスラーム哲学についてのみ書くとする筆者の厳しい執筆への姿勢に彼のムスリムとしての在り方が垣間見られた。2020/10/09

Bartleby

12
現代編。中田考や千葉雅也も論考を寄せている。本巻でも示唆されているとおり、やはり日本に哲学はない、のかもしれない。アフリカ哲学を紹介する論考がもっとも印象に残る。アフリカと哲学を結びつけることで、欧米が、そして私たちがいかにアフリカ的なるものを下に見ているかがわかる。欧米におけるユダヤ人問題はまだ問題の圏内にあるだけまし。根本的に何かが奪われている。現代の哲学、世界哲学というものは政治哲学たらざるをえない。というか哲学そのものが政治と不即不離の関係にあるということを痛感させられた。2023/08/14

masabi

11
【概要】西洋のみならず各地の現代哲学の動向を解説する。【感想】ようやく最終巻現代編に到達した。西洋哲学の自己批判だけでなく、ポストモダン・フェミニズム・アフリカ哲学など西洋哲学それ自体に孕む問題を提起する論考が収録される。日本に限らず非西洋では、西洋哲学を受容しながらも自国の知的伝統と照らしてそれが哲学かを自問し、新たな知を生み出そうとする。現代イスラーム哲学やアフリカ哲学はこういう機会がないと手に取らなかっただろうので、読んでよかった。特に前者は翻訳不可能性を強く強調する。2024/02/21

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