ちくま新書<br> 世界哲学史5 ──中世III バロックの哲学

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ちくま新書
世界哲学史5 ──中世III バロックの哲学

  • ISBN:9784480072955

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内容説明

ルネサンスこそ「世界と人間の発見」の時代であり、古代の「再生」であったとされて久しい。だが本当にそうだろうか。スコラ哲学の伝統を受容し、壮麗なる体系を構成したスアレスの哲学にも明らかなように、スペインのバロックは、中世の終わりというより、むしろ中世を完成し近代を準備したと言える。近代西洋思想は、イスラームの影響を受けたスコラ哲学によっていかに準備され、世界へと伝播していったのだろうか。中国・朝鮮・日本までを視野に入れて多角的に論じていく。

目次

1 西洋中世から近世へ 山内志朗
2 西洋近世の神秘主義 渡辺優
3 経済と倫理 山内志朗
4 近世スコラ哲学 アダム・タカハシ
5 イエズス会とキリシタン 新居洋子
6 西洋における神学と哲学 大西克智
7 科学論と方法論 池田真治
8 近代朝鮮思想と日本 小倉紀蔵
9 明時代の中国哲学 中島隆博
10 朱子学と反朱子学 藍弘岳

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

32
バロックとは、スペインが大航海時代の中で版図を広げる時代に、西洋において隆盛していた文化様式(030頁)。神秘主義とは、神的存在との直接無媒介の合一体験をめざす思想および実践(045頁)。貧しき使用とは、未来のために現在において必要止むを得ない部分を使用する(087頁)。オリヴィの共通善とは、共同体を構成する全員にとってよき事柄、共同体によってのみ維持増進されうる利益(089頁)。オリヴィの聖霊主義は、ヨアキムやフランチェスコに由来、富は社会に流通する限り富である(094頁)。2021/05/22

to boy

26
13世紀末まで等価交換が当然なことで利子を取ることは悪であるという考えに対し大航海時代により利子肯定論が出てきた事は初めて知りました。14・15世紀頃までキリスト教に縛られていた哲学が科学的な知見の拡大によって神と哲学との切り離しに苦悶する気配を感じました。それにしても西洋の学問はキリスト教に縛られ過ぎて窮屈な世界(現代も)だなって思います。唐突に出てくる「朝鮮思想」の章は無くても良いかな。荻生徂徠を語る章は面白くてもう少し詳しく知りたくなりました。2021/01/31

さえきかずひこ

15
本書は14〜17世紀の哲学を扱う。中世ヨーロッパにおける資本主義の萌芽を示唆する第3章、中国に宣教したイエズス会の漢訳のいとなみを伝える第5章、江戸期の反朱子学を展開し独自の思想を打ち立てた荻生徂徠とその学派について概説した第10章がいずれも興味深かった。本シリーズは章末に必ず参考文献が付されていて読みたいものが多いが最近の生活ぶりではどれだけ手に取れるか不明であり、その点はすこし悲しい。但し世界に広がる人々の哲学的思索の歴史を手軽にやや詳しく知れる点はとても素晴らしい。関心のある方はぜひ読んでください。2020/07/14

Bartleby

13
中世3。ちょっと誤字が多いのが玉に瑕。誰の論考かは書かないが、“大後悔時代”というのはすごかった。笑った。さて本書は大航海時代にイエズス会が伝えたキリスト教が、そして西洋哲学が、各地の思想と融合するさまが分かって刺激的だった。いよいよライプニッツ、スピノザも登場。神がつくりたもうた世界を理性によって理解するという名目で自然科学が展開。しかし自然界と神はこうして切り離されていく。西洋において利子をつけてお金を貸すという行為がいかに、そしてなぜ憎まれたかを解説する山内氏の論考がたいへん勉強になった。2023/07/28

masabi

11
【概要】中世の哲学の動向を解説する。【感想】大航海時代から17世紀まで。西欧ではスコラ哲学からデカルトへの流れ、ポストデカルトの哲学者を、東アジアではキリスト教の宣教と翻訳、儒教の朱子学と反朱子学が中心だ。前者はスコラ哲学とデカルトの連続性が強調され、後者では宣教師の持ち帰った中国哲学が西洋の哲学に与えた影響などが示される。文化や思想を一方的に受容するのではない相互作用が、西洋と東洋、中国と日本であった。この巻にてようやくホッブズやらスピノザやら見知った名前が出てくる。2023/11/14

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