ちくま新書<br> 世界哲学史4 ──中世II 個人の覚醒

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ちくま新書
世界哲学史4 ──中世II 個人の覚醒

  • ISBN:9784480072948

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内容説明

13世紀、ヨーロッパは都市の発達、商業の成長、教育と大学の充実など様々な面で大きな発展を遂げ、世界史の舞台の中心へと歩を進めた。一方でモンゴル帝国がユーラシア大陸を横断的に征服したことで、世界は一体化へと向かっていった。その中で、世界哲学はいかに展開したのか。ユーラシア大陸の両端に現れた鎌倉仏教と托鉢修道会の運動など、超越的なものへの受動的な服従に還元できない個人の覚醒のありようを、同時代の諸文化の影響関係を視野に入れながら考察していく。

目次

1 都市の発達と個人の覚醒 山内志朗
2 トマス・アク ィナスと托鉢修道会 山口雅広
3 西洋中世における存在と本質 本間裕之
4 アラビア哲学とイスラーム 小村優太
5 トマス情念論による伝統の理論化 松根伸治
6 西洋中世の認識論 藤本温
7 西洋中世の総括としての唯名論 辻内宣博
8 朱子学 垣内景子
9 鎌倉時代の仏教 蓑輪顕量
10 中世ユダヤ哲学 志田雅宏

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

to boy

30
十三世紀を中心に西欧、中国イスラム、日本、など世界の思想界を俯瞰した内容。経済が発達し都市が発達したこと、教会が告解を義務付けたことなどが個人の目覚めを促したことになるほどと思った。朱子学の説明はわかりやすくて納得。この時代西欧と日本の思想界で同じような動きがあった事に何か不思議な思いがしました。西欧中世の普遍論争とか認識論にはちょっとついて行けない。ただでさえ難しい哲学に神学が絡んできてなかなか理解できないです。2020/12/07

壱萬弐仟縁

29
参考文献のガザ―リー『哲学者の自己矛盾』平凡社、2015年が何か気になる(106頁)。哲学者批判だから。怒り(傍点)という情念も気概的能力の重要なはたらき(119頁)。朱子学では、心は性と情けを統(す)ぶ(188頁から)。動詞で統合の統を「すぶ」というのは知らなかった。「ごったんふねい」(兀庵普寧)(219頁)は日本史図版の これ(『日本史 図版・史料読みとり問題集: 大学入学共通テスト・国公立2次・私立大対応』)に出てきたような? 他、預言とは、人間が自ら知性を高める能動的な行為である(242頁)。 2021/05/22

しんすけ

19
今回も知られる哲学史ではない。しかし書かれていることのすべてが未知はない。 哲学とは今までは観てはいなかったものが、ここに集めらえたという印象も残る。 トマス・アクィナス以外は、そう言っても過言ではないのとさえ思う。 この時期は宗教においても大きな動きがあった。日本では鎌倉仏教、西欧では宗教改革の前史ととれる動きもみられる。 編者は偶然だろうかとも書いているが、社会構造の歪みが共通に露呈しだしていたのでないかと観ること可能なのではないか。 法然、親鸞、日蓮が、為政者の迫害下にあったことが、そこに重なる。 2024/01/04

Hiroo Shimoda

15
朱子学のパートが一番面白かったかな?鎌倉仏教も期待してたけど、歴史の教科書的に著名人物を列挙してばかりの印象で、消化不良。2020/06/11

さえきかずひこ

14
普遍や超越といった人間の日々の営みをこえた思索がいつの時代にもあり、それを"世界哲学"というコンセプトで読み解いていくシリーズの第4巻。本書で扱われるのは13世紀の世界哲学だが、ぼくがとりわけ惹かれたのは第6章(西洋中世の認識論)である。ブレンターノやその弟子のフッサールによって知られた志向性概念を、中世哲学におけるコンテクストにおいて考察しており、イスラーム経由のアリストテレス解釈や光学理論の影響を勘案し、トマス・アクィナスとロジャー・ベイコンが、共にスペキエス(形象)概念を認めるという指摘が興味深い。2020/09/24

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