ちくま新書<br> 世界哲学史2 ──古代II 世界哲学の成立と展開

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ちくま新書
世界哲学史2 ──古代II 世界哲学の成立と展開

  • ISBN:9784480072924

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内容説明

「善悪と超越」をテーマに、主に善悪の規範となった宗教的思索の起源と、超越的なものへのまなざしについて、文化的諸伝統を横断しつつ考察。キリスト教を古代哲学の文脈で正面から論じ、仏教や儒教を「思想史」ではなく哲学史の観点から検討する。さらに従来は哲学として扱われてこなかったゾロアスター教やマニ教、古代末の東方教父・ラテン教父哲学までを含め、宗教の形でこれまで扱われてきた超越的思考を、哲学史として、各地域の諸伝統を有機的連関において論じていく。

目次

1 哲学の世界化と制度・伝統 納富信留
2 ローマに入った哲学 近藤智彦
3 キリスト教の成立 戸田聡
4 大乗仏教の成立 下田正弘
5 古典中国の成立 渡邉義浩
6 仏教と儒教の論争 中島隆博
7 ゾロアスター教とマニ教 青木健
8 プラトン主義の伝統 西村洋平
9 東方教父の伝統 土橋茂樹
10 ラテン教父とアウグスティヌス 出村和彦

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

へくとぱすかる

81
オビの惹句にひかれて、「宗教的思索の起源」を知ろうと、1巻を読まずに取りかかったが、長らくほぼ積ん読の状態。やはり最初の巻から読んだ方がいいんだと痛感。マニ教・ゾロアスター教の件がやはりおもしろい。哲学についての一般的イメージは、いわゆる宗教色から離れた思考だが、歴史的には宗教的思索と深くかかわっており、むしろそこからの脱却をめざした志向が、現在の哲学の流れを生んだのだろう。哲学の可能性を、広く世界の哲学から見い出そうというのが、編者の姿勢であるが、哲学の性質上、単純に過去に回帰しないことは必然だろう。2021/08/16

壱萬弐仟縁

37
セネカは、自然が決めた最期を待つべきだと論じて自殺を認めない哲学者を自由の道を閉ざしていると批判。自由とは、死を選びとる積極的自由を意味する(061頁)。ゾロアスター教は流行らなかった哲学(166頁)。イラン人のみ受容とのこと。神は人間の自己の中心である心—心臓を意味するラテン語—最も深いところで見いだされる。が、神自身は遥かに超えている(239頁)。2021/05/22

to boy

33
第二巻はかなりレベルアップして難易度が高かった。古代後半、世界各地で生まれた宗教、思想、哲学の交流が始まる。そこでは当然、翻訳という作業が発生し、翻訳することで各地の色に染まりながら内容が変質していく所が面白い。多分、半分も理解できていないと思うけど、古代の考え方のダイナミックさを感じることができて良かった。2020/06/22

きいち

32
キリスト教、大乗仏教の成立、ゾロアスター教にマニ教、ローマに古典中国。善悪、超越性をめぐって成立していく普遍性というものが世の中に存在するのだという信念。文字、学派、学校。◇冒頭の納富、どれだけ別の文化に翻訳されたかが世界哲学へのカギというのに得心。普遍性は後からのものかも。ペルシャの章を読むヒントにもなる。◇しかし、とはいえ、大乗仏教の中身は語られないし、やっぱりなぜ三位一体じゃないといけないのかもわからない。妙に近く見えるアウグスティヌスも何だか気持ち悪い…うーん、なかなかついていけない。2020/09/09

evifrei

26
古典古代のうち後半を扱うが、宗教と哲学の関連が鍵となる。(宗教の立ち位置も現在と異なり、ある信仰体系のもと篤神的に生きる事はより良く生きる事に直結しており、それが哲学の実践と考えられていた事に由来する。)前半は歴史に基づいた記述が多く、若干哲学的考察は薄目の印象を受けたが、ペルシアの哲学を扱う7章以降は、スピーディーに要領よく纏められた各地・各派の哲学的知見が展開される。特に新プラトン主義と東方・ラテン教父哲学についての記述が読みどころだと感じた。『ペルシア哲学は流行らなかった』……泣くべきか笑うべきか。2020/06/30

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