内容説明
プロレタリア文学運動の行方。そして大正から昭和にかけての文壇を彩った文豪たち――都会の裏町に江戸の情趣を探った永井荷風、感性鋭い芸術家の運命を生きた芥川龍之介、母恋いと女性崇拝を主題に文章の美を求めた谷崎潤一郎ら、その生涯と作品。
プロレタリア文学/芥川龍之介/永井荷風/谷崎潤一郎
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
21
プロレタリア文学・芥川・荷風・谷崎。文学史的には重要な役割にいても、後世の人があまり読まなくなってしまった作家がいかに多いか知りました。特にプロレタリア文学のあたりは小林多喜二以外ほぼ読みつがれていないような・・・。永井荷風も読んでいないのでさっそく購入。谷崎は書斎にあるのに「痴人の愛」のインパクトがすごすぎて読めていないのですが、「細雪」は読みたいです。2012/04/07
tieckP(ティークP)
7
芥川・荷風・谷崎というクズなところがある作家と、プロレタリア文学という、このタイプとは遠いからこそ逆に文学としてはクズなところのある文学が交ざっていて裏文学史のような一冊。3作家に共通する西洋の影響と明治以前の日本の取材を上手く解説し、特に後者の三様さ(芥川は単に舞台、荷風は江戸後期のみ、谷崎は西洋賛美から転じての深い愛着)を論じたところは読まされる。プロレタリア文学のところも質としては評価しないとしつつ、政治的意味を問うかどうかは両論あるとして丁寧に文脈が説明されているようにバランス感覚がすこぶる良い。2018/09/17
ken
3
反自然主義とモダニズム文学について。彼らの努力は近代文学の可能性を大きく前進させたように思う。特に大正から昭和初期に高まったモダニズム運動が非常に興味深い。自己の醜さをこまごま告白する私小説を嫌悪した彼らは、プルーストなどの西欧文学を紹介しつつそれらの技法や文体を実験的に取り入れた。私小説に見られる自己憐憫とは無縁な彼らの作品は前衛的な文体や技法による芸術性の追求の軌跡とも言える。川端康成のノーベル賞受賞は彼らの運動がなければなかっただろう。あまり興味がなかったけど横光あたり一読の価値はあると思えた。2017/05/12
みんさね
3
時代背景と作家評と作品評なのに、なんでこんなに面白いのでしょう。芥川の切支丹物好きですね。荷風の風俗描写、谷崎のSM、フェチ系は、思い出しただけでワクワク(すみません)して、未読の書も読んでみたくなりました。2012/04/09
fantamys
2
激動の大正文学だが、あんまりなじみがありすぎる日本人よりも、冷静な目で論じてくれるから、純粋に文学史の中の位置づけとして勉強になる気がする。2024/03/10
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