内容説明
坪内逍遥、二葉亭四迷、尾崎紅葉、幸田露伴、樋口一葉、そして泉鏡花。文明開化の時代、翻訳小説、政治小説の流行から幻想奇譚まで、近代文学の幕開け。
序 近代・現代の日本文学/文明開化/明治の漢詩文/翻訳の時代/明治政治小説/坪内逍遥と二葉亭四迷/硯友社/北村透谷とロマン派/幸田露伴/樋口一葉/泉鏡花
感想・レビュー
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佐島楓
17
文明開化からの日本の文学的混乱っぷりが客観的に書かれている。これまでタイムスリップできるなら大正時代! と思っていたのだが、明治時代もやはり面白い。幸田露伴、樋口一葉、泉鏡花に詳しくなりたいかたは是非。2012/04/05
ともすけ
12
近代文学の流れが非常にわかりやすくまとめてある良書。特に北村透谷とロマン派の与えた影響というのには興味を持たされた。ロマン派の影響というのは文学においては弱いのかもしれないが日本人の心性としてはまだ息づいているのではないだろうか。その他坪内、二葉亭についても詳しく書かれている。が、樋口一葉についてはキーン氏はそれほどの思い入れはなかったのだろうか少々物足りなさを感じた。他に取り上げられている作家は、尾崎紅葉、幸田露伴、泉鏡花など。もちろん文明開化からの翻訳、政治小説についても詳しく書かれている。2016/04/18
蛇の婿
5
明治、文明開化、近代小説への道…すごくわかりやすく、とても面白かったです!この時代は、小説という存在そのものの試行錯誤の時代だったのかもしれません。この本を読むと実にムラムラとこの時代の作家さんの書いたものが読みたくなります。そうかぁ…こういう時代背景が…漠然とでも知識では知っていたはずなのにいまいちピンと来ていなかった私は、この本を読んで恥じ入るばかりです。…しかもこれを書かれた方が日本人ではない、というのもすごいです…ドナルド・キーンさん。惚れてしまいそう。2011/11/30
みんさね
4
たしか読んだ事あったのですが、復習のつもりで。面白い。わかりやすい。一葉さんの所は感動的。最近こういった学術本(世界史 売れてますね)が文庫になっていいのですが、本代が・・・。全巻揃えたいし、近世編も欲しい。本代が・・・。2012/04/05
tieckP(ティークP)
3
執筆当時は外国人のキーン氏による日本文学史であるが、その立ち位置はむしろ彼に、日本文学全体についての細部に拘泥しない目線を許していて、非常にオーソドックスなものとして書かれている。とりわけ政治小説についての部分が優れていて、たんに面白い小説を並べて説明するのと違う、文学史ならではの章であり、歴史家としてのキーン氏の実力を証明している。それでいて個々の作家・小説については個人的な評価の高低もはっきり述べられており、主観的評価と客観的評価をきちんと区別しているので、面白さと信頼性を両立できている。2018/09/01