内容説明
心にしみる、九つの物語。
スナフキンによって名前をもらった、一匹のはい虫や、冷たい言葉を言われすぎて姿が見えなくなってしまったニンニの物語など、珠玉のショートストーリー集。
1964年に翻訳出版されてから、55年もの間愛され続けてきた「ムーミン」の物語。大人気のキャラクター「ムーミン」は、この全集が原典となっており、今なおその魅力は増すばかりです。
この度、今の時代により読みやすくするべく、改訂を行いました。
初めての方も、ムーミンのことなら何でもご存じの方も、楽しんでいただける[新版]として、順次刊行して参ります。
1現代的な表現、言い回しに整え、読みやすく
2クリアなさし絵に全点さしかえ
3原語最終版に基づき、より細部にこだわった表現に
4フィンランド最新刊と共通のカバーデザイン
5四六判ソフトカバーでコンパクトに
こどもから大人も楽しめる、大注目のシリーズです!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
keroppi
87
この巻は短編集。いろんなキャラクターが主人公となって登場する。しかも、自分らしさを見つけていく物語だ。一番気になったのは、「見えない子」。皮肉を言われすぎて、口がきけなくなり、怒ることも、遊ぶことも出来なくなり、透明人間になってしまった。ムーミン一家と過ごすうちに、やがて自分を取り戻していく。ムーミン一家は助けようとするわけでなく、対等に接しようとしただけ。こんな人との出会いが、自分らしさを見つけることになる。他にもムーミンパパが自分を見つける話等もあり、今の時代にも通じるような短編集。2022/01/21
おっとっとっ
44
ムーミンは結構有名なので知っていたけど、小説があるのは知りませんでした。実際読んでみると個性的な仲間たちが結構いて面白かったです! Eテレでムーミンのアニメやっていますよ〜^ ^
❁Lei❁
31
自分らしさって何だろう。読みながら、ずっと考えていました。この本ではムーミン谷の仲間たちの、アイデンティティを探す旅が描かれています。春のしらべを追い求めるスナフキン。ニョロニョロと海を彷徨うムーミンパパ。叔母さんに皮肉を言われ続けて透明になったニンニ。彼らは周囲との交流の中で、見失っていた自分らしさを取り戻していきます。ムーミン谷は自由で平等、個性を否定されないやさしい場所です。読者はこの世界に飛び込むことで自分を見つめ直し、原点に立ち帰ることができると思います。いつまでも浸っていたい物語群でした。2021/11/08
かもめ通信
21
旧版と読み比べてみると、新版のよさがきわだった。これからそろえるならこの版がお薦め。私ももう少し読み比べてみよう。2021/09/29
みや
19
短編9作収録。ムーミン谷に暮らす様々な生き物たちの日常の1シーンが切り取られ、作品世界が更に広がった。ムーミントロールが小さい竜を捕まえる話では、スナフキンの機知と気遣いと優しさが発揮されている。達観した台詞が多いのに少年らしさも兼ね備えるスナフキンは何歳なのだろう?「あんまりだれかを崇拝すると、本物の自由はえられないんだぜ」が心に響いた。ヘムレンさんが職場である遊園地の崩壊を機に年金生活を始める『静かなのが好きなヘムレンさん』、ムーミン一家がよく分からないままクリスマスの準備をする『もみの木』が好き。2023/05/07