光文社文庫<br> 棺の中の悦楽〈悽愴篇〉~山田風太郎ミステリー傑作選4~

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光文社文庫
棺の中の悦楽〈悽愴篇〉~山田風太郎ミステリー傑作選4~

  • 著者名:山田風太郎
  • 価格 ¥770(本体¥700)
  • 光文社(2019/10発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784334731830

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内容説明

殺人と公金横領の秘密協定で、突然千五百万円が転がりこんできた男。彼は愛していた女が結婚してしまったことから、人生観が逆転した。大金を餌に、期限付きで次々と女を換えていく。男は快楽の果てに死を決意していたが……(表題作)。狂気の淵にまで追いつめられた男と女の心の変遷、倒錯した心理。著者独特のアイロニーが光るホラーミステリー傑作集!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

geshi

30
悽愴篇というカテゴライズも納得の人生の闇を描く救いのない物語ばかりなのに一種の底が抜けてしまった読後感は独特。『女死刑囚』『新かぐや姫』最も離れている聖と俗とが地続きになる山風マジック。『30人の3時間』追い込まれた人間の悲劇的喜劇が筒井康隆を思わせる。『わが愛しの妻よ』夫妻が完全に被害者なんだけどその役割を楽しんでいるようにも見えてくる。『棺の中の悦楽』愛を捨てた男が金で買った女たちの知らなかった有り様。これだけのバリエーションで女を描けるのが凄いしオチも皮肉。2022/09/29

そうたそ

30
★★★★★ 日本の「元祖ノワール」というべき作品を数多く残した著者のその類の作品を収めた作品集。分厚いが本当にひとつも外れがなく読み終えてしまうのがもったいないほど。後味悪く救いようがないものばかりなのだが、不思議と読後感は悪くない。「誰も私を愛さない」なんてその最たるものだ。一切の容赦ない描写が素晴らしい。一番長い表題作も傑作。ひょんなことから横領金を手に入れた男がその大金を費やすために様々な女性と付き合うことになるが――という話。大部を費やす前半が呆気なく思えるほどの結末に度肝を抜かれるばかりだ。2017/07/28

きょちょ

17
殺人事件もあるが、主に男女間の人間関係を描いた作品群。 表題作は、風太郎自身B級作品と言っているが、いやいやA級作品でしょう。とても楽しめる。登場する女性が皆、個性的で味わい深い。 他もどれも面白いが、特に「新かぐや姫」「祭壇」が好き。 そして「誰も私を愛さない」は、複数の妻を共有することと殺人事件と記憶喪失を絡めた風太郎の意欲作と思う。 「赤い蝋人形」「二人」はミステリー要素が濃い、結末は予想できるがそれでも面白い。 「30人の3時間」は、筒井康隆的ドタバタ話。 ★★★★★2016/05/23

harukawani

11
まさに悽愴編。救いのないオチを迎える話ばかり。表題作は、特殊な状況に陥った男が特殊な思想から特殊な女性遍歴を辿る話。一気読みする面白さはあるけれど、山風長編としてそれほどのインパクトはないかなぁ。しかし、シニカルな結末はさすが。短編は相変わらずの傑作揃い。マイベストは悩むけど……最も悲惨な展開の「わが愛しの妻よ」かな。「赤い蠟人形」にはアッと驚かされたし、「新かぐや姫」は卑俗な中に神々しいほどの輝きがあって素晴らしい。その他、落ちる飛行機に居合わせた人々の凄惨で滑稽な狂乱を書いた「30人の3時間」、(続)2016/02/26

てら

6
“悽愴篇”とあるので「ハハハ今までだって十分悽愴でしたよ何いってんの」と読んでみたら、本当に今までより悽愴な作品ばかりで魂のHPが激減した。ミステリがどうとかトリックがどうとかどんでん返しがどうとかは、もはや問題ではないと思う。これは人間の問題です。ああおそろしい。2013/08/08

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