内容説明
本書には、著者のデビュー作である「達磨峠の事件」の他、様々な中・短編ミステリーを収録した。懸賞小説に応募して当選した作品や、ショート・コントの傑作。さらには、「青春探偵団」や「笑う肉仮面」の原型ともいうべき「青雲寮の秘密」と「肉仮面」。戦前・戦後の世相を背景にしながら、次々と発表した作品の数々。風太郎ミステリーワールド堂々の最終巻!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
32
山田風太郎ミステリー傑作選とあるけれど、ミステリー以外の小説の方がたくさん収められています。そんなこととはつゆ知らず、ミステリーだと思って読みすすめていたので、あれ?謎が無い……と吃驚。そういう作品が何編かあり、今回の巻はミステリーだけじゃないのかと納得。2015/11/09
きょちょ
24
山田風太郎ミステリー傑作選を刊行した、光文社並びに日下三蔵氏に感謝したい。 この補遺篇では、「東京魔法術」の雰囲気が何とも好きだ。東京へと向かう嫁さんの気性と、旦那さんの愛情が、サスペンス交えながらもほのぼのとした作品になっている。 そして風太郎がショートショートを書いていたのは今まで知ることが無く、読めて良かった。 また、「石の下」は、私小説的だなぁと思って読んでいたが、何と彼の処女作だったとは!しかも純文学的なところも素敵だ。「白い船」も初期作品だが、実に味わい深い作品だ。 ★★★ 2017/02/19
岸田解
1
同シリーズの第1巻『眼中の悪魔』を読んだのが2018年5月のことで、その時はまだ全巻を読み通すつもりもあまりなく、長く間を空けたりもしながら、何とか最終巻まで辿り着いた。後は『天狗岬殺人事件』と『十三の階段』か。更に明治もの、忍法帖と時代を遡っていくにはどれくらいかかることだろう……。2022/02/25
浅木原
1
落ち穂拾い詰め合わせ。デビュー作である表題作は本当に普通の本格で、乱歩が選評で「大阪圭吉っぽい」と言ったのもなんとなくわかる。収録作で一番インパクトがあるのは文句なく「天誅」で、目が点としか言いようのないバカミスっぷりに唖然。もうちょっと分量欲しかったなこれは。あとはまあそんなに印象に残らない感じで、大量の単行本未収録作が一冊にまとまったっていうことがこの本の意義だろうなあ。『天狗岬』と同様、基本は山風ならなんでも読みたいという人向けですね。2015/11/17
KBS
1
山風としては意外な作風の話が多い。また、色んな意味で有名な作品『天誅』もこれに収録されています。基本的に山風ファンを対象とした本なので、山田風太郎ミステリー傑作選を一通り読んでからこの本を読むことをおすすめします。2011/04/23