内容説明
怪談というものは、理におちてはこわくない。あとで合理的解決というものをくっつけては面白くない。徹頭徹尾、荒唐無稽なものでなくてはならない。怪談を成功させるには、天才的文章力と、一種病的性格の持主でなければなるまい(著者)。奔放な想像力を縦横無尽に駆使した、まさしく風太郎奇想小説のこれが真髄。20篇収録。巻末に少年篇5篇と緊急追加2篇も同時収録!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
犬こ
21
タイトルに怪談とあるけれど、怖い話というより、奇怪、不思議、中には意味不明な話が繰り広げられる短編集。山田風太郎と言う作家のジャンルがよくわからなくなってきたけれども、いろんな切り口を持った不思議な作家だなと感じました。2016/07/17
きょちょ
20
短篇17作。 怪奇物は、異形の人間が登場する作品が多いが、中でも「黒檜姉妹」「蝋人」が良いなぁ。 特に、「蝋人」はかなりロマンチックでもある。 後の忍法帖の発想の原点が垣間見える。 「うんこ殺人」は、題名で変な作品と思う人もいるだろうけれど、れっきとした推理小説でしかも巧みだ。 SF物は、「1999年」は、文体は古く思えるがかなり深みのある作品で、彼らしい戦争批判もあり面白かった。 少年物は、掲載誌からも漢字の少なさからも明らかに少年向け。 17作のうち、いくつかは習作のようなものも見受けられた。★★★ 2016/10/31
Ayah Book
11
山風先生の短編集。かなりのボリュームがあるが、残念だったのは、既読作品がほとんどだったこと。「黒檜姉妹」もう何度も読んでるような。。。良かったのは「うんこ殺人」かな。女性蔑視の描写はどうかと思うが、時代的にね。。。まあ仕方がないかな。皮肉な結末の「笑う道化師」「万太郎の耳」も良いですね。2021/03/24
unknown
5
タイトルに惹かれて真っ先に「うんこ殺人」から読んだ。まさかダンテも「神曲」をこんな形でモチーフにされるとは思うまい。もちろん、「人間華」「畸形国」「蝋人」など、異形のものを書かせたら流石の一言。奇抜で荒唐無稽なワン・アイデア + どんでん返しの様式美も炸裂しているので、不気味なのに妙に小気味良い。怪奇というよりはSFな作品もあり、フリーキーな未来世界の姿とテクノロジーの数々が節操なく飛び出してくる「1999年」の可笑しさは実に楽しい。クリトリスの細胞を移植するとか、触手付き人工性愛器とか、無性にときめく。2010/10/03
しじみのたわごと
2
山田風太郎作品の未読を求めて1年程かけてちびちび進め、読了。短編集で「うんこ殺人」に遭遇するのももう三度目位になる。初読はPARTⅡの少年編5篇・PARTⅢの掌編2篇位。「とびらをあけるな」が子供向けながらエンタメ的王道かつスリリングで楽しい。「エベレストの怪人」はオチが見事。個人的に好きな蠟人・黒檜姉妹・畸形国は再読しても尚面白かった。2019/01/06