内容説明
“私はこの事件の犯人であり、探偵であり、被害者……”一人三役というアクロバティックな設定が、主人公の手記を通して、変奏されながら明らかになっていく華麗なる本格推理。同時に、この作品は、青春の傷(いた)みをせつなく感じさせる恋愛小説としての魅力も併(あわ)せ持つ(「猫の舌に釘をうて」)。ほかに、郷愁を誘う幻の珠玉短篇集『哀愁新宿円舞曲』を完全収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たか
51
『私はこの事件の犯人であり、探偵であり、被害者である』 面白い設定であり、メタミステリの先驅的な作品であるが、半世紀以上前の作品で、古さを感じてしまうのは否めない。E評価2018/11/16
KAZOO
33
私はどちらかというと、一人3役というよりも当時のこの作者が書かれているような雰囲気にやられた、という感じです。どちらかというとペダンティックな感じもするのですが、都筑先生が書くと嫌味にはならない気がします。2014/11/21
popo
12
うおー!! すげぇー!! 名作やないか!! 名探偵が実は犯人で、被害者と思われてた人が加害者で、一人称小説の記述者 つまり、私が犯人で、一人三役とわかった状態で物語が進む。 当然そんなスゴいトリックがあるわけもなく、 全てを知った上で話は進むのに、、 騙された、、 いや、 なんというか、これは斬新でビックリが正しいのかな。 とりあえず、今年のトップ10に入れときます!!2016/10/19
ジャム
5
私はこの事件の犯人であり、探偵であり、被害者・・・表題作の「猫の舌に釘をうて」は、束見本に綴られた奇想天外な手記で語られる殺人事件の驚くべき真相を描いた野心作でこの時代にもうこんな奇抜な設定を用いたミステリがあったのかと驚きました!また、その他にも短編集「哀愁新宿円舞曲」にも奇抜な設定と叙述トリックを用いたミステリも多く特に「狂犬日記」、「手紙の毒」、「乳房のあるサンドイッチ」の3作が印象に残りました!また、巻末には都筑氏自らによる経歴紹介もありこれ1冊で都筑道夫という探偵作家のことが良く分かりました!2014/02/03
さほ
4
講談社文庫の方を読んだのですがなかったので。犯人、探偵、被害者の一人三役という作品の着眼点がすごい。面白かったです。2010/08/31