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内容説明
ウィトゲンシュタインは、哲学の問題すべてを一挙に解決するという、哲学史上でも最高度に野心的な試みを遂行した。著者生前唯一の哲学書を、これ以上ないほど明解に、初学者にやさしく解説した画期的入門書!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
38
簡潔で平易な好印象です。知っている知識で知ろうとしているのではなく、知っているとか知らないといえないことが実は知っていることなのだという、カントに通じる限界を考察するテイストは前期後期共通の魅力です。最後に序文の解説があり「ここに表されている思想やそれに似た思想を自分自身ですでに考えていた人だけだろう」について脳科学などとは一線を画した考察がなされています。それを言語の限界と表現したのには後年の記号論への接近も思わせますし、映像技術の時代に相応しい写像というパズル的な要素は思いのほか現代的です。2020/08/20
特盛
37
評価4/5。先日講演を拝聴した、古田先生のヴィトゲンシュタイン論考の逐一解説。記号論理学のパートは大幅カットしながら大変丁寧。写像理論、名と要素命題、論理空間、有意味な命題/言語の限界と思考など丁寧に追っていく。「語りえぬもの」とは何なのか。論理空間を支える前提・土台的なものはその論理空間では記述できない。それは論理、倫理、主体など。形而上学を切り捨てたと一般に評され論理実証主義に担がれたが、ヴィトゲンシュタインは語りえぬもの、こそ大事だとしたのがポイントだ。それは示され、神秘そのものである。2024/10/31
さえきかずひこ
20
『論理哲学論考』で提示されるウィトゲンシュタインの思想を理解するためには記号論理学の知識は言うまでもなく、読むための準備作業が必要である。今後、そのための代表的な礎となるであろう一冊が本書だ。彼の込み入った術語について、丁寧にくりかえし言い換え表現を多用し言葉を尽くす様は、有意義な哲学講義を受けている気分に読者を必ず導くだろう。むろん本書一冊で『論考』のすべてに触れた気持ちにはなれないが、その厳しい"論理空間"のいくぶんかを体感できることは間違いない。心からお勧めできる新ウィトゲンシュタイン入門書である。2019/06/19
春ドーナツ
14
「論理哲学論考」を読んだのは、名前の表記がヴィトゲンシュタインだった頃だと思う。ナボコフの「読書とは再読である」という教えは実にその通りだなと個人的に思い、お気に入りの小説の再読を重ねてきたけれど、哲学書でも実践しようと先日ふと閃いた。初読からかなり時日が経っているので、あいだに解説書を挟もうと考えた。そうすると再読がどうなるのか実験してみたかったのだ。ただこのプランはケースバイケースとする。いきなり原典に飛び込む方が性に合っているから。本書はあくまでひとつの解釈に過ぎないけれど、とても得るものがあった。2023/12/10
月をみるもの
13
ヒトは非論理的に思考することはできない、、って言われると、最初は「は?」と思うんだけど、支離滅裂に見える発言や思考に内在する「論理」があるのもしれん。。。https://www.google.com/search?q=%E6%94%AF%E9%9B%A2%E6%BB%85%E8%A3%82%E3%81%AA%E7%99%BA%E8%A8%80&rlz=1C5CHFA_enJP802JP8022020/01/02